fMRIによるとイヌはひとのことばを理解しているらしい、猫はどうだろう

fMRIってしっていますか。functional magnetic resonance imagingといって、磁気共鳴機能画像法とか訳されている検査です。機能をきちんと説明しようとすると、たいへんなので、ここらへんWikipediaあたりをよむといいでしょう。ざっくりというと、脳における血流量と酸素の代謝量をMRIで観測して、脳のどの部分がある動作や思考をしているときにつかわれているかということを観測する技術のことです。脳のある部分がつかわれると、その部分の神経細胞が活動し、酸素をたくさん必要になるためにこういったことがわかるんですね。

今月のあたまに、日経新聞系のナショナル・グラフィック日本語版が「イヌは飼い主の言葉を理解している、脳研究で判明」との記事を出しました。fMRIをつかって、イヌの脳をしらべたところ、はなしかけると、イヌの脳(”the canine brain”)もにんげんとほぼおんじうごきをしめす(情報処理をする)ということがわかったとのことです(”scientists found the canine brain also processes the information in a similar way as humans.”)。つまり、ひとの会話において重要な2つの要素、ことばのそのもの(”the word”)と抑揚(”the intonation”)の両方を、イヌもきちんととらえているということがわかったというのです。イヌ好きとしては、うれしいニュースではないでしょうか(記事のオリジナル版はこちら

イヌをMRI装置のなかで、おとなしくさせるというのは、そうとうな苦労があったとおもいます。記事によると、調教師は数ヶ月をこの「離れわざ」のためにハンガリーの13匹のペットイヌにかけたそうです(”It took several months for dog trainers to work their magic on 13 pet dogs that live in Hungary”)。

ところで、気になったのは、イヌとならぶ、ペットの代表格、ネコをしらべたら、どうなるのかということです。自分勝手で気ままといわれるネコをしらべたら、もしかしたら、ひとはひとでも、KYなひととおなじ反応を脳がするのではと勝手な想像をしてしまいました。といっても、自分勝手なネコのことですから、MRI装置のなかで、おとなしく実験につきあってくれるとはおもえませんけどね。

fMRIについては、つい先日ソフトウェアの欠陥(”software flaws”)から何千という研究データが無駄になるのではないかという報道がありました。よくつかわれているSPM、FSL、AFNIというデータ解析パッケージにソフトウェアの欠陥があり、この手法をつかうと、偽陽性を常に出力してしまい、5割以上の結果でエラーがでてしまうというのです(”some software flaws in the popular fMRI data analysis packages SPM, FSL and AFNI meant this technique routinely produced false positives, resulting in errors 50 per cent of the time or more.”)。

今回のイヌの実験結果がこの問題の影響をうけているとはみえませんが、どれだけの研究がこの欠陥の被害をこうむったのでしょうか。