主語+行為動詞+目的語の文型(第2パターン)のひろがり

第2パターンの基本をまずは再確認

以前書いた「主語+行為動詞+目的語の文型をもっと理解しよう(第2パターン)」では、次の2つの文をくらべて、どちらが第2パターン(主語+行為動詞+目的語)の文であるか、みてみようといいました。

(A) Mr. Price returned recently.
(B) Mr. Price returned the money.

これを文法的にかんがえると、”recently”は副詞で、”money”は名詞だから、”money”しか(直接)目的語になれないから、当然(B)が第2パターンだとなります。しかし、私は、意味(意味上のながれ)からかんがえて、どちらの単語が”return”という動詞のゴールになることができるだろうか判断して目的語をえらぶやる方をおはなししました。

もう一度確認しましょう。第2パターンは「主語+行為動詞+目的語」の文型です。そして、第2パターンにおいて、動詞の行為の結果のゴールとなる目的語を直接目的語 direct object とよびます。

どちらが直接目的語をふくんだ文ですか。
(A) The rain stopped the game.
(B) The rain stopped suddenly.

“game”と”suddenly”のどちらが”stop”という動詞の行為のゴールになっているでしょうか。もう少しつづけてみましょう。

(C) All good citizens vote on Election Day.
(D) All good citizens cast their vote on Election Day.

(E) Each student keeps a list of every misspelled word.
(F) The wheezing motor finally stopped completely.

第2パターンはワンパターンじゃない

ここから、第2パターンのかたちにひろがりがでてきますよ。つぎの文をみてみましょう。

(A) The pitcher threw Reggie a fast curve.
「ピッチャーはレジーにたいして速いカーブを投げた」

動詞threwの後には、2つの名詞があります。”Reggie”と”curve”です。この2つの名詞の役割にはおおきなちがいがあります。”and”がはいっていて、「レジーとカーブ」だったんでしたら(レジーとを投げるのはややおかしいですけれども)、役割にたいしたちがいはありません。この文では、「レジー」にたいして「カーブ」を投げたとなっていますので、この2つの名詞の役割にはおおきなちがいがあります。名詞のうちのひとつは直接目的語となっています。では、どちらの名詞が直接目的語でしょうか。どのように直接目的語をきめるかというと、自分自身に「ピッチャーは、何を投げたのか」ときいてみるのです。

行動動詞+直接目的語が分かちがたいカップル

名詞Reggieは、なにをしているのでしょうか(名詞”Reggie”の役割はなんなのでしょうか) それは、”pitcher”が誰にたいして”curve”を投げたかということを表しているのです。”Reggie”とおなじ役割をになっている名詞(または代名詞)を間接目的語といいます。重要なことは”threw”(行動動詞)+”curve”(直接目的語)が役割としてひとつのグループとなっていることです。英語は”threw”「投げる」という行動動詞だけだと中途半端ない感じがして”curve”(カーブ)という動詞のゴールとなる直接目的語がないとおさまりがつかないということです。

ここらへんは日本語とおおきくちがうところなので、感覚的にわかりづらいですね。「あのー」と声をかけられたのに、なにもそのあといわれないといった、中途半端な感じといったらちかいでしょうか。もっとも、行動動詞+直接目的語の分かちがたい関係については、、無理に日本語との対応関係をみつけようとせずに、英語ではそうなんだというふうに受けいれなくてはいけないとおもいます。他言語をまなぶときには、そうやってそのままを受けいれなくてはいけないものがときにでてきます。

主語+行為動詞+目的語の文型をもっと理解しよう(第2パターン)

主語+行為動詞+目的語の文型について、English 2200 with Writing Applications: A Programmed Course in Grammar and Usageに以下のような表示がありました。

「Subject(主語) — Action Verb(行為動詞)→ Direct Object(直接目的語)」

主語と行為動詞は「–」横棒でつないでいるだけですが、行為動詞と直接目的語は「→」でつなげてあります。このブログ・エントリーのタイトルでは「主語+行為動詞+目的語」と、それぞれを「+」でむすびつけていますが、「+」におおきな意味はなく、ただ、順番をあらわしているだけです。「–」も同様に主語につづいて行為同士がくるという順番をあらわしています。その一方、「→」が示されているのは関係の強さと方向をあらわしています。行為動詞と直接目的語のきってもきれない関係の強さがうまくあらわされています。

では、「主語+行為動詞+直接目的語」の文例をみていきましょう。

(例)The speaker showed a movie of his travels.

「講演者は自身の旅行の動画をみせた」

注意しなくてはいけないのは、行為(行動)は主語から始まり直接目的語でおわるということです。行為動詞にとって、直接目的語はその行為のゴールとなっています。では、直接目的語はどれでしょう。冠詞とか形容句をかんがえずに、単語をひとつだけえらんでみましょう。

べつの例をみてみましょう(訳文はあえてのせていません)。

(A) Mr. Price returned recently.
(B) Mr. Price returned the money.

ここで、気をつけなければならないのは、行為動詞につづいているからといって、すぐにその単語を直接目的語とかんがえてはいけないということです。直接目的語となるためには、その単語は動詞の行為を受けるか、動詞の行為の結果をしめすかの、どちらかの意味でゴールとならなければいけません。上の(A)と(B)のうちの1つだけが、直接目的語をふくんでいます。”recently”と”money”のどちらが行為動詞”return”の**行為のゴールとなったでしょうか。

主語+行為動詞+目的語の文型を理解しよう(第2パターン)

動詞中心に文を理解していくことは、動詞にどれだけの意味がふくまれているかということからはじまります。これは、辞書にでている意味をみてもわからないことです。動詞を中心に文をみていくことをくりかえして、身につけていくことができません。単語をおぼえることも大切ですが、できるだけ、単語だけをおぼえるのではなく、その単語がつかわれている例文とともにおぼえるようにしましょう。

ことばをけずって意味を確認してみよう

(A) The coaches from both teams agreed with each other.

これは第1パターン(主語+行為動詞)の文です。

“The coaches agreed.”「コーチたちは同意した」というところ(主語+行為動詞)まで、ことばをそぎおとしていっても、完成した意味をもっています。(”The”は「主語」の一部ではありませんが、文としてのかたちをとるためには、”the”とか”a/a”をつけることが必須になってしまうことがあります。”the”は主語を修飾していることばなので主語にはふくめません。”from both teams”を主語にふくめないのと同じです。)

(B) The coaches compared the two teams.

(A)と同じようにことばをそぎおとして行ってみましょう。

→ The coaches compared.

「コーチたちはくらべた」

コーチたちは、なにをくらべたのでしょうか。ファンでしょうか、スタジアムでしょうか、それとも、チームでしょうか。ここまでそぎおとしてしまうととわかりませんね。主語+行為動詞のところまでけずってしまうと、文の意味が未完成になってしまうのです。

もとの文をみてみましょう。

(B) The coaches compared the two teams.

「コーチは2つのチームをくらべた」

文の意味が完成しています。どの単語が動詞にしたがって文の意味を完成するのを助けているでしょうか。その単語をえらんでみましょう。ヒントは、主語と同じように修飾していることば(形容詞など)を除いて名詞をみていくことです。”teams”が文の意味を完成するのを助けているのです。

動詞を意味のうえで助ける補語

動詞中心に3パターンで文型を説明するテキストなどをみると、次のような文章がでてきます。

“The word that follows a verb and completes the meaning of a sentence is known as a complement.”

「動詞にしたがって文の意味を完成する単語を補語と呼びます。」

英文を3パターンで説明する場合、「補語」の意味はわが国の学校で習うのと違って広いんですね。補語の一種類として直接目的語が説明されるんですよ。

(C) The police blocked the road.

これも文をそぎおとしてみましょう

→ The police blocked.

「警察は封鎖した」

この文では、なにを「封鎖した」のか、わからないという宙ぶらりんな意味になってしまいます。”road”ということば(補語)を得ることで、「警察は道路を封鎖した」という意味のうえで完成したものになるのです。

補語の一種としての直接目的語

“The kind of complement that receives the action of the verb or shows the result of this action is called a direct object.”

「補語の一種で、動詞のアクション(行為)を受けてとる動詞や、アクションの結果を表すものを直接目的語という」

学校でもならった直接目的語(direct object)がでてきました。補語の種類で、動詞の行為を受けるもの、あるいは動詞の行為の結果を受けるものを「直接目的語」と呼ぶんですね。

(D) The casher made a slight mistake.

「レジ係はちょっとだけまちがえた」

この文は、しばしば”make a mistake”(まちがえる)という熟語として理解されているますが、行為動詞のなかで、補語(直接目的語)をもたないと意味として完成しないという点からかんがえるといい例だとおもいます。make(行為動詞)+mistake(直接目的語)で「まちがえる」という意味を完成させています。

結果の目的語、受けての目的語

(E) The company manufactures trucks.

「会社はトラックをつくっている」

(F) The company repairs trucks.

「会社はトラックを修理している」

この2つの文は、行為動詞のところを入れ替えているだけです。ところが直接目的語との関係がちがいます。(E)では、つくった結果がトラックです。(F)では、修理という行為の受け手がトラックなのです。微妙なちがいといってしまえば、それまでです。しかし、こういった行為動詞と直接目的語の関係のちがいが文の理解につながっていきます。

主語+行為動詞の文型を確認しよう(第1パターン)

動詞を中心にみていくと、英語の文は基本的に3つの文型(sentence pattern)に分けることができます。まずは、第1のパターンです。「主語+動詞」となります。5文型だといわゆる「第1文型」にあたる部分です。ここでは第1パターンとよんでおきます(ここらへんのことばは勉強するうえでの方便なのであまり気にする必要はありません)。

第1パターンの文は、「主語+動詞」だけで意味がとおるものです。いいかえると「動詞」だけで主語の「行動」について説明することができる文のパターンです。これを「文として意味上は完成(成立)する」といいます。

文型をみるのに行為動詞について確認しよう」でいくつかの例文をあげておきましたが、例文のうち、下の文がこの第1パターンにあたります。どちらも短い文ですが、これだけで文として完成(成立)しているのがわかるとおもいます。

c. “Harvey stumbled.”
ハーベイはつまずいた。

f. “Our guest arrived.”
(私どもの)客が到着しました。

一方、次の文を見てください。

Our guest from Ohio arrived by plane this morning.
オハイオからの客が今朝、空路で到着した。

c.とf.と比べると、文がずいぶん長くなっています。それでも、この文は第1パターンの文になります。こういった文をみるときは、まず動詞をみつけましょう。次にその動詞の主語をみつけましょう。続いて、そしてその2つだけで、意味上は一応完成することが出来るかどうかを確認しましょう。

(1)「到着した」(動詞)→誰が?
(2)「客が」(主語)→これで完成していないか?

こういった順番でみていくのです。同じことを下の文についてもやってみましょう。

A. The coaches from both teams agreed with each other.

B. The rain from yesterday stopped around 9 o’clock in the morning.

C. I leaned across the desk to operate the keyboard.

実はこの「意味上完成する」というのは日本人として感覚をつかむのは難しいかもしれません。動詞のなかにどれだけの意味がふくまれているのということを理解するのは、単に辞書をみただけではわからないからです。しかし、この動詞にどれだけの意味がふくまれているのかと点をおさえることが英語の肝をとらえるのに大事です。そして、動詞を手がかりに文の意味を取っていくというやり方を理解することはとても大切です。

文型をみるのに行為動詞について確認しよう

文型について

中学校や高校の英語の授業で、5文型のことならったことがあるのではないでしょうか。SVですとか、SVC、SVOといったパターン(文型、sentence pattern)で、英語の文がどうならべられているのか(語順)を理解していきます。100年以上もまえにはじまったやり方といわれています。日本では、5文型が定着していますが、まとめ方によって、10文型という考え方もありますし、3文型というかんがえ方もあります。

このうち、3文型でパターンのとらえ方の基本となるのは、英語の動詞には行為動詞(action verb)と連結動詞(linking verb)の2種類があるということです。3文型は動詞中心で、文型をみていく考え方なんです。動詞の重要性について、当ブログでは強調してきました。文型については、3文型で英語の語順をみていきましょう。

行為動詞とはなにか

行為動詞と書くとかえってわかりづらくなってしまうかもしれませんね。action verbといえばわかるようにactionを説明する動詞です。まさに「動」詞というのに相応しい動詞です。行為動詞は、なんのアクションについてなのか、という点から大きく分けて2つに分かれます。

a. work, drive, wash, write, lift
b. think, hope, believe, decide, understand

a.とb.の違いがおわかりになりますでしょうか。キーワードは”body”と”mind”です。

つまり”body”「身体」の動きと”mind”(この言葉は日本語にすると正直どれも意味的にしっくりこない感じがするのですが)「精神」「心」の動きを説明する2つのグループに分かれます。aとbのどちらがどちらかなのは是非ご自分でお考えください。

行動動詞の2つのパターン

行為動詞はそれだけで文章の意味が完成する(まとまってしまう)ものと、他の言葉(目的語や補語)が伴わないと文章の意味が完成しないものに分かれます。以下を見てください。

c. Harvey stumbled
d. Harvey sharpened

どちらが完成した文でしょうか。

e. Our guest brought
f. Our guest arrived

こちらはどうでしょうか(質問ですので、便宜上、完成した文、未完成な文はともに、ピリオド(.)は省きました)。動詞の意味をもとに、かんがえてみましょう。






完成した文は、それぞれ、cとfです。

c. Harvey stumbled.
「ハーベイはつまずいた」
Harvey stumble on a stone.「ハーベイは石につまずいた」といった文をみることもありますが、cのようにうしろになにもつづかなくても、文として完成しています。

d. Harvey sharpened the knife.
「ハーベイはナイフをといだ」
こちらは、「とぐ」ということばについて「なにをといだのか」をはっきりとさせないと、文として成立しません。

e. Our guest brought a gift.
「客は贈り物をもってきた」
eは「もってきた」のはなにか、はっきりとしめさなければ、文として完成しません。

f. Our guest arrived.
「客が到着した」
fはこれだけで完成しています。もちろん、”Our guest arrived at our place.”のように、どこについたのかをしめす文もありますが、重要なポイントは、この行動動詞は自分だけで文を完成させる力をもっているということです。