語の構成要素 I

Iからはじまる構成要素はけっして、おおくありませんが。-icや-ia, inter、intraなどなじみ深いものがおおいですね。病名ということでいうと、「炎症」を意味する-itisはもらすことはできません。

構成要素 語源・意味 例語
-ia ギ→ラ「(病的)状態」 abasia: 失歩, 歩行不能(症).
-(i)asis ギ「病的状態」「~性の病気」「~に起因する病気」 mydriasis: 散瞳、瞳孔散大.
iatr(o)- ギ「医者」「治療」 iatrochemistry: 医療科学
-iatry ギ「治療」 podiatry: 足治療、足病学. psychiatry: 精神医学、精神病学.
-ic ギ「~の」「~のような」「~の性質の」「~から成る」「~によって生じる」「~を生じる」 hepatic artery: 肝動脈
ichthy(o)- ギ「魚」 ichythyosis: 魚鱗癬. 
-icle ラ「元来小さい」の名詞を作る(意味が失われたものもある) ovarian follicle: 卵胞.
-ics ギ→ラ「…学」「…術」「…論」 obstetrics: 産科(学).
idio- ギ「個人特有の」「自身の」「独自の」 idiopathic: 特発性.
ile(o)- ギ「回腸(ileum)」 ileocecal valve: 回盲弁.
ilio- ラ「腸骨(ilium)」 iliococcygeal muscles: 腸骨尾骨筋.
infra- ラ「下に」「下部に」「下位に」「の内に」 infrahyoid muscles: 舌骨下筋.
inter- ラ「中」「間」「相互」「以内」 interarticular: 関節間の.
intra- ラ「内」「内部」「間」 intracranial hemorrhage: 頭蓋内出血.
-ion ラ「状態」「動作」 ablation: 除去, 切除, アブレーション, 剥離.
-ior [AE], -iour [BE] ラ「動作」「状態」「性質」 tremor: 震え.
ipsi- ラ「自身」「同じ」 ipsilateral: 同側(性)
irid(o)- ギ「虹彩」 iridectomy: 虹彩切除.
isch(o)- ギ「制限」 ischemia: 虚血
ischi(o)- ギ「坐骨」 ischioanal fossa: 坐骨肛門窩
-ism, -ismus ギ「病的状態」 dwarfism: 小人症(侏儒症)
is(o)- ギ「等しい」「同じ」 isotonic: 等張(性).
-ist ギ「~の専門家・専門医」 pathologist: 病理医, 病理学者.
-ite ギ「~の(性質を持つ)人」 hermaphrodite: 雌雄同体.
-itis ギ「炎症」 tonsillitis: 扁桃炎
-ium ギ→ラ「~構造」「~組織」 pericardium: 心膜, 心嚢.
-ive ラ「の傾きのある」「の性質を有する」「のするのに役に立つ」 sedative: n. 鎮静薬; adj. 鎮静させる, 鎮静作用のある.

参考資料

切り分けて・整理して考える 主観と客観

さて、いきなり主観と客観なんて小難しいタイトルではじめてしまいましたね。まずは、主観(subjectivity)についてかんがえてみましょう。iOS版大辞林3.0には、主観の意味がふたつでています。とても哲学的な意味も書かれているのですが、ここでは 大辞林に書かれている「自分ひとりだけの考え」という意味にそって主観をみていきましょう。

では、診察の現場で「自分」とは誰のことでしょうか。もちろん、医師(physician)も医師自身にとっては「自分」ですし、看護師(nurse)だってそうです。受付(reception/receptionist)もそうでしょう。しかし、あえてここでは「自分」とは患者(patient)のことだとかんがえてみましょう。

なぜ、患者を「自分」とするのかということを診察のながれをみながらかんがえてみましょう。診察(medical examinationあるいは単にsession)というのは、一般に患者が症状(symptom)をかかえて病院(hospital/medical institution)に来院することからスタートするします。そして、その患者を担当した医師が症状についての患者の訴え(complaint)をもとに問診や検査をすすめるのが診察です。そもそも、この症状というのがなにかというと「患者により苦痛として経験されたり、心配や危険として解釈されたりする痛みあるいは不快の感覚。通常、自覚症状の意味で使う」(医学大辞典 第2版・医学書院刊)なのです。患者による主観的な経験(subjective experience)が症状なのです。

さて、症状に対する言葉は、徴候(sign、他覚的所見 objective finding)です。「第三者が客観的に観察できる所見」(同医学大辞典)のことをいいます。ここで、「客観」という「主観」と対になる言葉が出てきましたね。つまり、症状(主観)と徴候(客観)が対になっているのです。別の見方をすると、主観の主である「自分」は患者で、客観的に観察している「第三者」は医師(他の医療従事者 medical practitionerも含まれます)になります。

診察というは一般的に、患者が訴えている症状に、医師が耳をかたむけ、そして検査などをおこなって、所見をまとめ診断にいたるという流れ(プロセス)のことをいいます。すべてが主観と客観のわく組みにきれいにおさまるとはいえないものの、おおむね主観→客観にいたる流れだといえるでしょう。ですので、「主観」「客観」という考え方・見方がわかると、医療の現場でおこなわれていることの意味がみえてきます。

たとえば、なぜ病院にいくと、熱(body temperature)や血圧(blood pressure)などをはかったりするのかということがわかってくるでしょう。熱や血圧といった数値で表せるものは客観的なデータだからなんです。患者が「熱っぽいんです」と症状を訴えてきたときに熱をはかって「38.0度ですね」となれば、症状が徴候として客観化されるのです。こういった数字・数値であらわすことを「定量化する(quantify)」といいますが、患者の「主観」を「客観」化するのに大切なやり方なんですね。

なお、熱・血圧は、心拍数(heart rateまたはpulse)と呼吸数(respiratory rate)とあわせてバイタルサイン(vital signs)と呼ばれます。ここでサイン(徴候)という言葉が客観的な意味でつかわれていることが確認できます。徴候という言葉は、予兆(きざし)という意味でもつかわれたりするので、やや混乱しないように気をつけましょう。専門的には、こういった予兆は前駆症状(prodrome)といわれます。

つねに、主観か、客観かなんてことはかんがえていなくとも、考え方の整理をするときにとても役立つと思いますよ。

主観 客観
患者 医療従事者(医師)
症状 徴候・所見
定性化 定量化

語の構成要素 H

Hからはじまる構成要素は、なんといってもhemat(o)-とかhem(a/o)-など血液についてのものですね。hyper-とhypo-は対にしておぼえておくべき、とても大事な構成要素です。このほか、肝臓のhepat(o)-も大切です。hyster(o)-は歴史的背景があるものの、女性にとっては腹立たしい構成要素でしょう。全般的にhからはじまる構成要素はおおくありません。

構成要素 語源・意味 例語
halluc- ラ「母趾(足の親指、hallux)」 hallucal: 母趾の
hallucina-, hallucino-, hallucinat- ラ「頭(思考)の中で迷う」 hallucinosis: 幻覚症.
hemat(o)-(米), haemat(o)-(英) ギ→ラ「血」 hematology: 血液学, 血液内科.
hem(a/o)-(米), haem(a/o)-(英) ギ「血」 hematological malignancy: 造血器悪性腫瘍、血液悪性腫瘍
hemangi(o)- ギ「血管」 hemangioma: 血管腫
hemi- ギ「半」cf. semi- ラテン語由来 cerebral hemisphere: 大脳半球.
hepat(o)- ギ「肝臓」 hepatization: 肝変化
heter(o)- ギ「他の」「異なった」「異常な」 heterogeneous: 不均一な, 不均一性の, 異種性の, 異種起源の, 異質な.
hidr(o)- ギ「発汗」「汗腺」 hyperhidrosis: 多汗(症)、発汗過多.
hist(o)-, histi(o)- ギ「組織」 histiocyte: 組織球.
home(o)-, homoe(o)-, homoi(o)- ギ「類似の」 homeopathy: ホメオパシー, 類似[同毒]療法
hom(o)- ギ「同一の」「同類の」 homosexuality: 同性愛.
humer(o)- ラ「肩」「上腕」「上腕骨」 humeral: 上腕骨(humerus)の.
hy(o)- ギ「舌弓に連結する」「舌骨と…の」 hyoid: 舌骨
hydr(o)- ギ「水」 hydrophobe: 恐水病患者、疎水性物質
hyper- ギ「向こうの」「超越、超過」「過度に」「非常な」 hypertension: 高血圧
hyp(o)- ギ「下に」「以下」 hypovolemia: (循環)血液量減少(症)
hypn(o)- ギ「睡眠」「催眠」 hypnalgia: 夜間神経痛, 夜間疼痛.
hyster(o)- ギ「子宮」「ヒステリー」 hysterectomy: 子宮摘出(術)、子宮全摘.

参考資料

JCI認定病院が2015年だけで7施設増えて全部で18施設へ

JCI(Joint Commission International)の認定を受けるためのセミナーがいろいろとひらかれているというので調べてみたところ、なんと2016年3月末現在で国内認定施設の数が18にまで増えていました。このうち、2015年だけで7施設が認定を受けたというのですから、急増しているといえるでしょう。このトレンドがいつまで続くかわかりませんが、東京オリンピックの開催を背景とした最近の外国人受け入れブームや慢性的な病院の経営難などをかんがえると、増加ペースはともかく増加していく方向にまちがいはないでしょうね。

2016年3月末現在の認定施設を表にしました。関東に11施設が集中していますが、北海道から沖縄県まで全国に施設は散らばっています。東北と北陸にはまだ1施設もありませんね。JCIのウェブサイトでは一部にリンク切れがあるのですが、病院名のところにリンクをはっておきました。

病院名 英名 認定日 都道府県
亀田総合病院 Kameda Medical Center 2009年8月8日 千葉県
NTT東日本関東病院 NTT Medical Center Tokyo 2011年3月12日 東京都
介護老人保健施設老健リハビリよこはま Geriatric Health Services Facilities Yokohama 2012年3月29日 神奈川県
聖路加国際病院 St. Luke’s International Hospital 2012年7月14日 東京都
湘南鎌倉総合病院 Shonan Kamakura General Hospital 2012年10月27日 神奈川県
総合病院聖隷浜松病院 Seirei Hamamatsu General Hospital 2012年11月17日 静岡県
相澤病院 Aizawa Hospital 2013年2月16日 長野県
メディポリス国際陽子線治療センター Medipolis Proton Therapy and Research Center 2013年9月13日 鹿児島県
済生会熊本病院 Saiseikai Kumamoto Hospital 2013年11月23日 熊本県
葉山ハートセンター Hayama Heart Center 2014年3月6日 神奈川県
東京ミッドタウンクリニック Tokyo Midtown Clinic 2015年1月31日 東京都
足利赤十字病院 Japanese Red Cross Ashikaga Hospital 2015年2月7日 栃木県
埼玉医科大学国際医療センター Saitama Medical University International Medical Center 2015年2月7日 埼玉県
順天堂大学医学部附属順天堂医院 Juntendo University Hospital 2015年12月12日 東京都
国際医療福祉大学三田病院 IUHW Mita Hospital 2015年12月19日 東京都
南部徳洲会病院 Nanbu Tokushukai Hospital 2015年12月19日 沖縄県
札幌東徳洲会病院 Sapporo Higashi Tokushukai Hospital 2015年12月19日 北海道
倉敷中央病院 Kurashiki Central Hospital 2016年3月12日 岡山県

※Joint Commission International(略称: JCI)とは、1994年に世界水準の医療施設評価機構をめざし設立された国際非営利団体 。本部はシカゴ。

語の構成要素 G

Gからはじまる構成要素には、性関連のものがすくなくないですね。ger-なんかそうですが、「老人」を意味するger(o)-とのちがいはおぼえておきましょう。ちなみに前者はラテン語由来で後者はギリシャ語由来です。-graphy(記録の手法)、-graph(記録の機器)、-gram(記録されたもの・図など)の区別もおぼえておくと便利ですね。

構成要素 語源・意味 例語
galact(o)- ギ「乳」 galactorrhea:乳汁漏出(症)、溢乳.
gastr(o/i)- ギ「胃」 gastrocamera: 胃カメラ
-gen(e) ギ(1)「生じるもの」「生じたもの」(2) 「種類」 (1) gene: 遺伝子; (2) gender: 性, ジェンダー.
-genic, -genesis ギ「~を生成する」「~によって生成される」「「~な遺伝子を有する」「~による製作に適する」 cardiogenic shock: 心原性ショック、 心臓性ショック.
genu-, geni-, gen- ラ「膝」 genu valgum: 外反膝、X脚.
ger-, ges-, gest- ラ「持ち歩く」「胎内に持つ」「妊娠」 gestation: 妊娠.
ger(o/i)-, geront(o)- ギ「老年」「老齢」「老年者」 gerontology: 老年医学, 老人学.
gingiv(o)- ラ「歯肉(gum)」 gingivitis: 歯肉炎.
glauc(o)- ギ「青みがかった緑[銀、灰]色」 glaucoma: 緑内障.
-globin ラ「グロビン(ヘモグロビンのたんぱく質成分)」 choleglobin: コレグロビン/コールグロビン(胆汁中の緑色色素).
glomerul(o)- ラ「(腎臓の)糸球体」 glomerulitis: 糸球体炎.
gloss(o)-, -glossa, -glossia, glott(o)-, glot- ギ「舌」 glossology: 舌学
gluc(o)- ギ「ブドウ糖(glucose)」 glucocorticoid: グルココルチコイド、糖質コルチコイド
glyc(o)- ギ「糖」「砂糖」「甘い」 glycolysis: 解糖(作用).
gnath(o)- ギ「顎」 gnathodynamometer: 咬合圧測定器; 顎力測定計.
-gnosis ギ「(特に病的状態の)認識」 diagnosis: 診断. prognosis: 予後.
gon(o)- ギ「性の」「生殖の」「種子」 gonorrhea: 淋病.
gonad(o)- ギ「性(殖)腺」 gonadectomy: 性腺摘出, 去勢.
gram-, -gram, -gramme ギ「記録」「図」「文書」; 図など実際に記録されたもの. angiogram: 血管造影(撮影)図
-graph ギ「書く・描く・記録する道具」「書かれた・描かれた・記録された絵・図」「…をあるいは…よって書く・描く・記録する」; 記録する機器. electrocardiograph: 心電計.
-graphy ギ「記録法」. 記録する手法. angiography: 血管造影[撮影]法
gravid(o)- ラ「妊娠」 gravida: 妊婦.
gyn(o)-, gynaec(o)- (英), gynec(o)- (米) ギ「女性」「女」 gynecomastia: 女性化乳房.

参考資料