抜かさない — 医療通訳技能検定の最後の最後の試験対策

今週末には、医療通訳技能検定の1次試験が行われます。当ブログの読者のなかにも受検される方がいるかもしれません。さすがにここまで時間がせまってくると、もうあがいてもしょうがないとおもう方もいるでしょう。

たしかに、ここからがんばっても、飛躍的に知識量がふえることは期待できないでしょう。といっても、できるかぎりのことはしたいものです。そこで、誰でもできる最後の最後の試験対策をお教えしましょう。それは、「抜かさない」ということです。

たったそれだけと拍子抜けしてしまう方、それってどういうことと首をかしげる方、いろいろな方がいることでしょう。この「抜かさない」ということの意味は、実は2つあります。それを1つずつ、いまから説明しましょう。

とにかく答えを埋めよう

まず1つ目はとにかく答えは抜かさず、飛ばさず、すべて埋めるべきだということです。医療通訳技能検定では、問題の大部分が選択式ですが、いくつか記述式の問題もあります。どちらの問題を解いているにしても、試験の終了時間に空白のままで提出する問題がないようにしましょう。

中には、答えに確証が持てない問題があるかもしれません。あるいはまったく答えがおもいつかない問題があるかもしれません。当てずっぽうでもかまわないです。とにかく空白部分は残さないようにすることが重要です。

英語の試験などの中には、当てずっぽうの答えを受検者が記入することを嫌って、まちがえた答えに対して、罰則点をあたえるものがあります。こういった試験に対しては空白で残した方が正しいこともあるでしょう。しかし、医療通訳技能検定はそういう試験ではありません。空白のまま提出したとしても、まちがった解答を書いたとしても、どちらの場合でもその問題の点数は最悪でゼロにしかなりません。

当てずっぽうが当たったとしたら、そこは得点になります。さらに部分点がもらえる可能性も否定できません。いずれにせよ、空白のままで提出することになんのメリットもありません。

受検者の中には、医療通訳は正確さが大切、わからなかったらわからないといわなければいけないと習ってきたので、わからないことを適当にやることに罪悪感をかんじる方もいるかもしれません。正直さを大切にしている方もいるでしょう。

しかし、あたえられた条件でできるだけのことをやるという点から見れば、空白をのこして試験をおわらせることは、試験対策として得策とはいえません。とにかく、空白をのこして試験をおえることは避けた方がいいでしょう。

英訳・和訳ではすべてを訳す

もう一つ抜かしてはいけないのは、英訳・和訳です。医療通訳技能検定を実施している一般社団法人日本医療通訳協会のウェブサイトで「医療通訳技能検定1次試験内容の留意事項」を素直によむと、英文和訳、和文英訳それぞれ、1問ずつ出題されることがわかります。

英文和訳は「大動脈疾患に関する問題」、和文英訳は「時事的な問題」ということです。いずれの問題でも、注意すべきことは訳すときに抜かしたり(もらしたり)しないことです。たとえば、次のような英文和訳問題があったとします。

Aortic dissection symptoms may be similar to those of other heart diseases, say, a heart attack. Typical signs and symptoms include sudden severe chest or upper back pain, often described as a tearing, ripping or burning sensation, that radiates to the neck or down the back.
(参考: Mayo Clinic Patient Care & Health Information

この分の”a tearing, ripping or burning sensation”という部分で、”tearning“と”burning“はわかるけど、rippingがわからなかったとしたら、そのままにしてはいけません。チェックをしておいて、見直しをするときに、なんらかの訳をかならずつけましょう。もどったときにすぐにわかるように和訳の中にrippingと英単語のまま書いておいてもいいでしょう。空白を残しておいて、空白部分がすぐにわかるように四角くかこっておいたり、線をひいてもいいです。とにかく、訳を抜かしてはいけません。

どうしても正解がでてこなかったら、文脈から理解して、こんな感じではないかという言葉をかいてもいいでしょう。実際に現場にでて通訳をするときには、けっしてしてはいけないことですが、当てずっぽうでもいいでしょう。英語力を問われているとともに、これは対応力も問われているんだとかんがえましょう。重要なことは抜かさない、飛ばさないということです。