医療通訳の職能団体・全国医療通訳者協会が発足しました

医療通訳が、医療の現場で患者に寄りそい、通訳をつづけていくこと、患者を支援していくということは精神的にたいへんなことです。おおくの場合、医療通訳はひとりで派遣され、現場にはいります。そして、その場その場で、患者と医療従事者の間のコミュニケーションにとって、最良の選択はなにかということをじぶんで判断していかなくてはいけません。ひとりで活動するわけですからその場で相談する相手もいません。現場の状況はそのとき、そのときでまったくちがいますし、さらに変化していきます。

ひとりの患者の通訳をおえたあとも、その場でくだしたひとつひとつの判断はただしかったのだろうかと自問自答する日々をおくることになるでしょう。医療通訳として活動をつづける重圧というのはちいさいものではないのです。そういったときに支えになってくれるのは、やはり、おなじように現場にたつ、医療通訳のなかまでしょう。当ブログでも、医療通訳のネットワーク・横のつながりがたいせつであることはつたえてきました。

一般社団法人全国医療通訳者協会(National Association for Medical Interpreters、NAMI)が各地で活躍する医療通訳者が「ゆるやかに、団体や地域を超えてつながって」いくために今月(2016年12月)発足したそうです。団体の趣旨をみると、「医療通訳の普及と発展を通して、医療保健場面で通訳を必要とする人々の健康と福利に貢献していくことを目的としています」と会の目的をあげています。ウェブサイトのトップページでは、「悩みや問題を共有して解決策をみつけていきましょう」とよびかけています。

私は現時点でNAMIのメンバーではありませんし、発起人でもありません。しかし、医療通訳にたずさわるものとして、医療通訳の職能団体がたちあがったことをよろこばしくおもいます。こんごとも、期待しながら、注目していきたいとおもいます。