(1) で触れたいくつかのサイトですが、それぞれの単語の意味についての見解には、やや違いがあります。もっとも、diseaseに関してはほぼ見解が一致してるようです。つまり、diseaseは、診断された「病気」だと言うことです。別の言い方をすると、医師が病理学的に患者の健康状態を診察した上で診断したという意味での「病気」であると言うことです。ちなみに「病理学」とは、高知大学医学部・病理学講座によると「病気になった原因を探り、病気になった患者の身体に生じている変化が、どのようなものであるかを研究する学問分野」ということです。
diseaseとは「重篤であったり、不治ものと受け止められがちであり、illnessはインフルエンザなどの一時的な不健康状態」という見解や、原因がはっきりしている病気を指すという見解もあります。しかし、必ずしもそうとはいえなそうです。例えば、メイヨ・クリニックが一般向けに出しているインフルエンザの説明ではインフルエンザはdiseaseとなっています。また、idiopathic 特発性のdiseaseもあります。あくまでdiseaseとは客観的(患者の訴えだけでなく医師の診断が入ると言うこと)な意味を持つという点が重要でしょう。医師が「病気です」と診断した際には、特定の病名でない限り素直にdiseaseを訳語として選択することがよいでしょう。
ちなみに、subjective 主観的と objective 客観的というのは、医療行為を理解する上でとても大事なポイントです。symptoms 症状というのは、多くの場合、患者が経験するとても主観的なものです。患者から症状についての complaints 訴えに耳を傾けながら医師は診察をし、findings 所見として客観的な形でまとめ、診断を下します。このプロセスを理解すると、医療通訳をしていても、流れがつかみやすくなります。
次回はsicknessとillnessについて、みてみましょう。