医療通訳技能検定一次試験の問題構成に大きな変化、検定ウェブサイトをチェックしよう

一般社団法人日本医療通訳協会は、10月20日に2019年秋期医療通訳技能検定試験を実施します。今回は、導入が目前にせまっているという認定医療通訳士制度にむけて、第3者認定機関である国際臨床医学会が求める形に試験の内容が大きく変わっているようなので、受検予定の方は気をつけた方がよさそうです。

試験の内容は、同協会のウェブサイトで公開されています。受検予定の方はかならずチェックすべきでしょう。認定医療通訳士制度に向けて、変わった点についてはサンプル問題も掲載していますので目をとおしておきましょう。

大きく変わった点については、「『通訳理論と技術』『倫理とコミュニケーション』『職業倫理、行動規範』の出題増」と明記されています。ここに「通訳理論と技術」がふくまれているので、言語能力を問う形の問題が増えたのかとかんがえるかたがいるかもしれませんが、残念ながらそうではないようです。あくまで、「通訳」の「理論」と「技術」にかかわる知識や通訳一般ついての知識をたずねる問題が増えているようです。

むしろ、言語能力(たとえば、英語や、中国語への翻訳力)といったものを問う問題は減ってしまうことになるようです。医療通訳技能検定では、和文ターゲット言語訳・ターゲット言語和訳の2本立てで言語能力を長年試験してきた伝統がありました。しかし「前回と異なり、英文和訳および和文中訳問題は出題されません」とはっきりと同協会のウェブページには書かれています。「英語問題は「急性気管支炎」に関する和文英訳、中国語問題は時事的な話題に関する中文和訳問題が出題されます」と1つだけになるそうで、言語能力についての点数配分もこの変更にともない、半減することになるようです。

「医療知識」と「言語能力」の2分野にウェートをおいておこなわれてきた医療通訳技能検定試験でしたが、こういった変更によって「日本の医療制度」「通訳理論と技術」「倫理とコミュニケーション」「職業倫理、行動規範」といった質問が大きなウェートを占めることになるようです。「日本の医療制度」「通訳理論と技術」「倫理とコミュニケーション」「職業倫理、行動規範」を合わせると、「医療知識」と「言語能力」の合わせたものとほぼ同じ程度のウェートに点数配分・問題数ともになるのではないかという予想もあります。

点数配分・問題数についてのこの予想があたっているかはわかりませんが、認定医療通訳士制度にむけて、医療通訳技能検定試験は今までとは大きく異なるものに変わろうとしていることは確かなようです。