ひさしぶりのブログ更新です。みなさん、お元気ですか。
さて、連日、コロナウィルス(coronavirus)による肺炎の報道が行われています。もともとのコロナウィルスについては、動物を媒介した人への感染だったはずが、どうやらウィルスの変異によって人から人への感染となったことで、騒ぎが拡大しました。
さらには、無症状の患者(この段階で、患者と呼ぶのが適切かはともかくそのように報道されています)から感染されたようだとの報告が上がってきたことから、さらにこの新しい疾患への恐怖が高まり、全国でマスクが品薄・品切れになるまでの状態となっています。
今年は、オリンピックがあることから、いつこの状況が沈静化するのか、多くのひとが気が気でないと思います。同じくコロナウィルスが原因で大騒ぎとなったSARS(重症急性呼吸器症候群、severe acute respiratory syndrome)が沈静化までに8ヶ月〜9ヶ月(報道によってはほぼ1年)かかったことを考えると、いったいどうなるのだろうとかんがえてしまいます。
こういった報道を聞いていると、ふだんは耳慣れない医療関係の言葉がでてきます。医療通訳の方の中には、「無症状患者ってなんていうんだろう」とか「コロナウィルスってなんて訳せばいいんだ」とかおもって、辞書を調べた方もきっといることでしょう。
出てくる単語で、興味深い単語は「無症状」の”asymptomatic”(形容詞)かもしれません。symptomatic(形容詞: 症状のある、症候性)に”a-“という”without”を意味するとても短い接頭辞をつけたことで、意味が180度かわってしまった単語です。”atypical”(形容詞: 非定型性)や”atopic”(形容詞: アトピー性、アトピーの)などでもこの”a-“は使われています。
また、「感染」という言葉ですが、”contagion”と”infection”があります。contagionとinfectionのちがいは、contagionが人から人への感染を指すのに対して、infectionは人から人だけでなく、動物など人以外を媒介した感染も含むということです。集合でいえば、「contagion ⊂ infection」ということです。つまり、変異によって、infectious(形容詞: 感染の)からcontagious(形容詞: (人間感染の)にこのコロナウィルスは変わったということです。
潜伏期間という言葉にも、主に2つの表現があって、”incubation period”と”latent period”(latentではなく、latencyともいいます)といいます。同じ意味で使われることも少なくないようですが、区別すると、incubationが感染から発症までという意味での潜伏期間を指すのに対して、latent periodは感染から感染性・感染力の獲得までを指すということだといいます。
連日の報道をみると、この先どうなることか気が安まることもありませんが、医療通訳としては、こんな時にこそ、単語力を磨き、患者のため、そして、東京オリンピックに備えたいものです。
日本語 | 英語 | |
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潜伏期間 | incubation period | |
潜伏期間 | latent period, latency period | |
潜伏期保菌者(キャリア) | incubatory carrier | |
発症 | incubation period | |
潜伏期間 | onset | |
感染性・感染力 | infectiousness | |
無症状患者 | asymptomatic patient | |
感染 | contagion | 人から人 |
感染 | infection | |
媒介物・媒介体 | vector | 動物など |
コロナウィルス | coronavirus | |
新型コロナウィルス | novel coronavirus | |
変異 | mutation | |
肺炎 | pneumonia |