WHO、新型コロナウイルスによる疾患をコビッド19/COVID-19と命名

当ブログでは、「無症状患者って英語でなんていう — コロナウィルス肺炎の報道からまなぶ」、そして「新型コロナウイルス感染についての英語の質問・問診例をみる — 米国CDCの資料から」と医療通訳の観点から、新型コロナウイルスをめぐる一連の動きを取り上げてきました。

しかし、その時点では、SARS(Severe Acute Respiratory Syndrome、重症急性呼吸器症候群 )やMERS(Middle East Respiratory Syndrome、中東呼吸器症候群)のように、疾患名として新型コロナウイルス(2019-nCoV)による疾患を指す言葉はありませんでした。

しかし、現地時間2月11日に、世界保健機関(World Health Organization/WHO)は、疾患名として、COVID-19と名付けることを発表しました。”CO”は”corona”を、”VI”は”virus”を、”D”は”disease”を、”19″は疾患が初めて見つかった昨年2019年を意味するとのことです。

 

WHOによると、この名前を付けた理由は”we had to find a name that did not refer to a geographical location, an animal, an individual or group of people, and which is also pronounceable and related to the disease”ということです。
つまり、①特定の地理学的な場所や、動物、個人やグループなどを指さないこと②発音できる(発音しやすい)こと③この疾患に関連していること—以上の3点からこの名前を選んだということです。

“Having a name matters to prevent the use of other names that can be inaccurate or stigmatizing.”
「名前を付けることは、他の名前の使用によって、(病気の情報が)不正確になったり、(地域や人に)烙印をつけるようなことになってしまうことを避ける上で重要である」として、病名を正式につけるにいたった理由を説明しています。

なお、”It also gives us a standard format to use for any future coronavirus outbreaks”といっています。つまり、今回の”COVID-19″を手始めとして、今後のコロナウイルスによる疾患の発生(outbreak)については、今までのSARSやMERSのように、個別の疾患名をつけることはなく、COVID-XX(XXのところに発生年が入る)と命名することになりそうです。