学習ノート – 逆流性食道炎

学習ノートは病気・症状についての覚え書き。医療通訳として、病気・症状についてまなぶべきとかんじたものをひとつひとつ個人的にまとめたものです。でも、完成形ではありません。勉強していくなかで、修正する可能性や、追加すべきものがでてくる可能性がある、つねに進行形のノートです。

逆流性食道炎 reflux esophagitis

胃の内容物の食道への逆流の頻度が増して、下部食道に胃酸によって炎症(粘膜のただれ)がおきた状態。世界的に増加傾向にある。男性では、40〜60歳代の肥満傾向の人におおい。女性では、60歳代以上で、腰が曲がり背中が丸くなった人におおくみられる。

病因 etiology

食道裂孔ヘルニアがおこったり、下部食道括約筋がゆるんだりして、胃液や胃の内容物が食道へと逆流することをふせぐ仕組みが弱まってしまった場合や、胃酸が過剰に増えてしまい、胃液・胃内容物が食道に逆流し長くとどまりおこる。

徴候と症状 signs and symptoms

胸痛は、10分〜60分つづく。焼けるような不快感が特徴で、おもに胸骨下部や心窩部におこる。痛みは、食べ過ぎや、栄養価の高い食事、アルコール摂取、喫煙などで強まる。そのほかの症状は、胸やけ、逆流症状、呑酸。嗄声、ぜんそく。男女ともに共通して、食道裂孔ヘルニアがあり、ピロリ菌感染がない。カルシウム拮抗薬を狭心症や高血圧の治療のためにのんでいる人におおい。食道狭窄をおこし、食物がとおりにくくなる。病変部からの出血で、吐血や貧血をおこすこともある。治療中に、粘膜が食道の粘膜ではなく、胃の粘膜に置きかわってしまうパレット食道になることがある。パレット食道から食道腺がんになる患者もごく一部ではあるもののいる。

診察法 diagnostic procedures

問診、上部消化管内視鏡検査、組織診。酸分泌抑制薬による診断(PPI(プロトンポンプ阻害薬)テスト)

治療法 treatment

生活習慣の改善(食事、姿勢など)、薬物治療、手術(腹腔鏡下手術など)

英語 日本語 Lay Terms
胃内容物 gastric content stomach content
胃酸 gastric acid stomach acid
下部食道 lower esophagus lower gullet
粘膜 mucosa lining
ただれ inflammation, sore
(年をとって)腰が曲がる v. stoop
背中が丸くなった adj. hunch-backed
下部食道括約筋 lower esophageal sphincter, LES
逆流する regurgitate flow back
焼けるような不快感 burning discomfort
胸骨下部 substernal region
みぞおち, 心窩部 epigastric fossa the pit of the stomach
食べ過ぎ overeating, gluttony
栄養価の高い食事 high-energy meal rich meal
アルコール摂取 alcohol intake
喫煙 smoking
胸やけ pyrosis heartburn
呑酸 regurgitation
嗄声 hoarseness, thick voice
ぜんそく asthma
食道裂孔ヘルニア (esophageal) hiatal hernia
ピロリ菌 Helicobacter pylori
カルシウム拮抗薬 calcium channel blocker, CCB
高血圧 hypertension high blood pressure
食道狭窄 esophageal stricture narrowing of the gullet
病変部 lesion site
出血 hemorrhage bleeding
吐血 hematemesis vomiting of blood
貧血 anemia
バレット食道 Barrett esophagus
食道腺がん esophageal adenocarcinoma esophageal cancer, gullet cancer
問診 interview
組織診 biopsy
胃酸分泌抑制薬 gastric acid secretion inhibitor
プロトンポンプ阻害薬 proton pump inhibitor
生活習慣 lifestyle
上部消化管内視鏡検査、胃カメラ upper endoscopy, upper gastrointestinal (GI) endoscopy
腹腔鏡下手術 laparoscopic surgery

参考動画

参考資料

※参考資料にもとづいて医療英語・医療通訳の勉強のためにつくられた資料です。実際の治療や、検査のために、つくられた資料ではありません。病気・疾患になやまれた場合、きちんと病院で治療をうけましょう。