腹痛について勉強しよう – 医療通訳実践トレーニング6月講義にむけて

6月の医療通訳実践トレーニングは「腹痛」がテーマですので、今回も医歯薬出版の「外来医マニュアル」をつかって、腹痛をおこす疾患をざっとピックアップし、さらに医学書院の「医学大辞典 第2版」やWikipedia、メルクマニュアル、メイヨークリニックのウェブサイトなどを参考に単語表をまとめてみました。また、鑑別診断をおこなううえでの診察方法、検査やその内容なども表にはくわえました。

消化管 digestive tract

日本語 英語 Lay Terms
ウィルス性胃腸炎 viral gastroenteritis stomach flu, stomach bug, stomach virus
急性胃炎 acute gastritis sudden inflammation of the stomach
消化性潰瘍 peptic ulcer
急性腸炎 acute enteritis sudden inflammation of the intestine
食中毒 foodborne illness, foodborne disease food poisoning
急性虫垂炎 acute appendicitis sudden inflammation of the appendix
イレウス ileus
消化管穿孔 gastrointestinal perforation
大腸憩室炎 diverticulitis inflammation of a pouch formed within the bowel wall
大腸ヘルニア嵌頓 incarceration of an inguinal hernia
S状結腸捻転 sigmoid vulvulus sigmoid colon torsion, twisting of the sigmoid colon
急性腸間膜動脈閉塞症 acute mesenteric arterial occlusion
虚血性腸炎 ischemic enteritis, IE
胃アニサキス症 gastric anisakiasis

肝・胆・膵 liver/gallbladder/pancreas

日本語 英語 Lay Terms
胆石症 cholelithiasis gallstone
胆道感染症 biliary tract infection
急性閉塞性化膿性胆管炎 acute obstructive suppurative cholangitis, AOSC
膵炎 pancreatitis
肝癌破裂 liver cancer rupture
肝膿瘍破裂 liver abscess rupture
肝周囲炎 perihepatitis inflammation of the tissue around the liver

尿路 urinary tract

日本語 英語 Lay Terms
急性腎盂腎炎 acute pyelonephritis inflammation of the kidney tissue, calyces, and renal pelvis
尿管結石 ureterolithiasis ureteral stone

女性疾患 gynecological diseases

日本語 英語 Lay Terms
子宮外妊娠 eccyesis, ectopic pregnancy pregnancy outside the womb
卵巣出血 ovarian bleeding, ovarian hemorrhage
卵巣嚢腫茎捻転 ovarian cyst pedicle torsion
子宮付属器炎 (uterine) adnexitis inflammation of uterine appendages

診断 diagnosis

日本語 英語 Lay Terms
問診 interview
薬剤服用歴 past medication history
ステロイド系抗炎症薬 steroidal anti-inflammatory drug, SAID
非ステロイド性抗炎症薬 non-steroidal anti-inflammatory drug, NSAID
疼痛の部位 site of the pain
下痢 diarrhea
嘔吐 emesis vomiting
発熱 pyrexia fever
黄疸 jaundice
貧血 anemia
体温 (body) temperature
反跳痛 rebound tenderness
筋性防御 muscle guarding, abdominal guarding
腸雑音 intestinal murmur
肋骨脊柱角 costovertebral angle, CVA
叩打痛(こうだつう) pain to percussion, tenderness to percussion
直腸指診 digital rectal palpation
検尿 urinalysis urine test
血尿 hematuria blood in urine
血液検査 blood test
血算 blood count, blood cell count
アスパラギン酸アミノ基転移酵素 aspartate aminotransferase, AST
アラニンアミノ基転移酵素 alanine aminotransferase, ALT
γ-GTP gamma-glutamyl transpeptidase
乳酸脱水素酵素 lactate dehydrogenase, LDH
アルカリフォスファターゼ alkaline phosphatase, ALP
C反応性蛋白 carbohydrate reactive protein, CRP
腹部X線検査 abdominal X-ray
胸部X線検査 chest X-ray
腹部CT abdominal CT
胸部CT chest CT

参考資料

※参考資料にもとづいて医療英語・医療通訳の勉強のためにつくられた資料です。実際の治療や、検査のために、つくられた資料ではありません。病気・疾患になやまれた場合、きちんと病院で治療をうけましょう。

時間があったらブックオフをのぞいて医療本をさがそう

医療系の本はたかい!

医療英語・医療通訳の勉強つづけていますか。本やウェブをつかって、資料をあつめているでしょうか。医療通訳はつねに勉強ですよね。

あたらしい研究や病気の新定義といった未来へ向けた勉強もありますし、いままで辞書でしらべてつかっていたことばがどうやらちがったものだったとか、べつのいいかたがあって、そちらのほうが適切だった、なんて、ある意味、過去をふり返るような勉強もありますよね。

いずれにせよ、勉強をやめることはできないのが、医療通訳っていうしごとです。でも、勉強するために買わなきゃいけない医療系の本て高いですよね。これほしいとおもっても、価格をみて、腰がひけちゃったことありませんでしょうか。正直いって、僕はあきらめたこと、なんどもあります。

時間があいたらブックオフへ

僕は外をあるいていて、時間に余裕があるときにブックオフをみかけたら、のぞいていることにしています。そして、「医学」とか「健康」とか書かれている棚にいくと、たまにおもわぬ掘り出し物があったりしますし、そうでなくとも、いい本が新刊よりは、やすい値段でかえます。

僕がいままでみつけたなかで、一番の掘りだしものは医学書院の「医学大辞典 第2版」でした。いまから、たしか2年ほど前に買ったのですが、5000円でした。どうやら、著者か出版社からだれかに送られた本のようで「贈呈」の印がおしてありました。もらってはみたものの、たいしてつかわなかったひとが処分した本らしく、ほとんど開いたようすのない状態で、破格の値段でした。

品ぞろえにちがい 医学部ちかくの店舗が狙い目かも

ブックオフは店頭で買い取りをしているので、店舗によって、品ぞろえがちがいます。チェーンですので、この店舗ではこの種類の本がうれる、あの店舗ではああいった本の方がうれるということもあるのでしょう。

よく聞くのは、医学部や看護学校などのちかくのブックオフは、生徒や卒業生がつかわなくなったテキストを売るので医学関連の本が充実しているということです。ただ、僕自身はそのことを確認はまだできていません。

僕が偶然はいって、医療本がわりとそろっていたのは、大阪の江坂店でした。おもわず、さきほどの「医学部・看護学校ちかくのブックオフは医療本が充実している」説を確認しようとして、店員さん何人かにきいたのですが、みなさん「とくにしりませんけど」といってました。なにかわかる方がいたら、ぜひ、問い合わせページから教えてください

医療は日進月歩、つねに進化していることに注意!

こういった古本をつかううえで気をつけなければいけないのは、つねに医学は進化しているということ。だから内容に完全に頼りきらないでください。せいぜい、海の上のヨット程度にかんがえておくことです。ゆらゆらしているでしょう。転覆するかもしれませんよね。でも、海の上をすすむことができる。頼りにはなるけど、頼りきれないんです。

ある勉強会で、著名な講師の方が説明をしたら、この本に書いているいい方とちがうって、食い下がっているひとがいました。その講師の名前にひかれて参加しているっていうのにですよ。本というかたちになるとすごい説得力があるんですね。

たしかに、そういった優秀な講師の方でも、すべてが正しいとはいえないというのは事実です。ですが、本が全部正しいってこともないんですよね。古本をつかっていたらとくにそうですよ。素直にまずはきいておいて、それでも、気になったら、あとで、いろいろな資料にあたってみましょう。

もっとも、新刊を買っても、かの有名な「ステッドマン医学大辞典 改訂第6版」なんて出たの2008年ですからね。妊娠中毒症が妊娠高血圧症候群になったのが2005年、高脂血症が脂質異常症になったのが2007年ですので辞典の出版ペースでみると、そんなに古いはなしじゃなくなっちゃいます。ブックオフをつかうってのは、そんなに危険なはなしじゃなくて、つかい方次第だとおもいます。

ブックオフのまわしものじゃないので、もちろん、町の古本屋でも、東京の神保町でもいいです。ブックオフはいろいろなところにあってみつけやすいのでおすすめしただけです。出版業界のためにも、新刊買うべきなんでしょうけどね。ふところ具合がきびしいです。

ご質問があれば、気軽に問い合わせページからご質問ください。