学習ノートは病気・症状についての覚え書き。医療通訳として、病気・症状についてまなぶべきとかんじたものをひとつひとつ個人的にまとめたものです。でも、完成形ではありません。勉強していくなかで、修正する可能性や、追加すべきものがでてくる可能性がある、つねに進行形のノートです。
帯状疱疹 herpes zoster, shingles
水痘・帯状疱疹ウイルスによっておこる痛みをともなう皮膚病。小さな水ぶくれ(小水疱)が帯状にあらわれることがおおいことから、この名前がある。昔からよくある病気であるため、地方によっていろいろな呼び名がある。例としては、東北地方の「つづらご」、中部地方の「おびくさ」、関西地方の「洞まき」などがある。最近は、予防薬の研究がすすんでいる。
病因 etiology
子どものころなどに水ぼうそう(水痘)にかかったあと、その原因である水痘・帯状疱疹ウイルスは末梢神経の神経節とよばれる神経細胞があつまっているところに潜伏感染する。このウイルスが再活性化することでおこる。他の人から感染しておこるのでない。再活性化の原因としては、老化があり、60歳代を中心に50歳代〜70歳代におおく発症する。他にストレスや心労、抗がん剤治療などで、免疫力が低下しておこることもあり、若い人に発症することもある。帯状疱疹が感染することはないが、水ぼうそうにかかったひとにたいして、水ぼうそうをうつすことはある。
徴候と症状 signs and symptoms
水ぼうそうと似た赤みのある小さな水ぶくれがウィルスが潜伏していた神経が支配しているからだの片側に帯状にできる。帯状にできるのは、神経のながれにそってできるためである。免疫力の低下がひどい場合、水ぶくれが帯状にできるだけでなく、全身に広がる場合もある。神経がおかされているために、その神経にそって痛みがおきる。痛みは、鋭く、焼けるような特徴がある。皮膚症状は2週間から4週間でおさまる。痛みも4週間でほぼおさまるが、高齢者によっては痛みがのこる場合もある (帯状疱疹後神経痛)。胸部では肋間神経にそっておこる場合がおおく、まれな症例では肋間筋麻痺がおこることもある。その他、発熱や悪寒、全身倦怠感などがおこることもある。
診察法 diagnostic procedures
臨床症状と経過で判断できることがおおい。鑑別診断のためにツァンク試験をおこなうこともある。確定診断のためにウィルス抗原を検出する方法などもあるが、ふつうはおこなわない。
治療法 treatment
ウイルスの抗体ができるまで待つしかなく、そのあいだは対症療法をおこなう。対症療法には、痛みについての対症療法には、内服薬、注射、神経ブロックがある。皮膚症状に対しては外用薬は時期や状態によってかわってくる。おこなうウイルスの増殖をおさえる抗ウイルス薬も、はやい段階では効き目がある。
英語 | 日本語 | Lay Terms |
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水痘・帯状疱疹ウイルス | varicella‐zoster virus, VZV | |
小さな水ぶくれ, 小水疱 | vesicle | small blister |
水痘、水ぼうそう | varicella | chicken pox |
末梢神経 | peripheral nerve | |
神経節 | ganglion, ganglia (pl.) | |
神経細胞 | nerve cell | |
潜伏感染 | latent infection | becoming dormant |
再活性化 | reactivation | |
老化 | aging | |
心労 | anxiety | |
抗がん剤治療 | chemotherapy | chemo |
帯状 | in a stripe | |
帯状疱疹後神経痛 | postherpetic neuralgia | |
肋間神経 | intercostal nerve | |
肋間筋 | intercostal muscle | |
麻痺 | paresis | |
臨床症状 | clinical presentation, clinical manifestation | |
経過 | course, progress | |
ツァンク試験 | Tzanck test | |
ウイルス抗原 | virus antigen | |
対症療法 | symptomatic treatment | |
内服薬 | internal medicine | |
注射 | injection | |
神経ブロック | nerve block | |
外用薬 | medicine for external use | |
増殖 | proliferation | increase |
抗ウイルス薬 | antiviral drug |
参考動画
Shingles – The causes, symptoms, treatment and prevention
参考資料
- 保健同人社「家庭の医学」
- 医学書院「医学大辞典 第2版」
- 医歯薬出版「外来医マニュアル」
- 研究社「医学英和辞典」
- ナースpedia
- Wikipedia
- メルクマニュアル・プロフェッショナル日本語版
- Patient Care and Health Information by Mayo Clinic
- goo ヘルスケア/家庭の医学(病気 症状 原因)
- WebMD
※参考資料にもとづいて医療英語・医療通訳の勉強のためにつくられた資料です。実際の治療や、検査のために、つくられた資料ではありません。病気・疾患になやまれた場合、きちんと病院で治療をうけましょう。