医療英語を勉強する時に自分で単語帳を作っている人もいるでしょう。また、自分たちの学習グループや病院、会社で作る方もいるでしょう。そういった単語帳はなるべく簡潔に作りたいと誰しも思うでしょうね。もっともだと思います。特に仕事で使うには効率的に使える単語帳が必要ですからね。
ただ、気をつけてほしいのは、何の注釈もなしに単純に英語と日本語を並べるのは、辞めた方がいいと思います。実際に単語を使って文を作る時には、その単語が名詞なのか、形容詞なのか、動詞なのかということが大切になります。あまりにもシンプルに単語帳を作ってしまうと混乱が生じることがあります。
ちょっした例を見て、何が問題なのか見てみましょう。 以下に並べたのは「NANDA-I看護診断 定義と分類」(医学書院刊)の「部位」に列挙されている医療用語です。1語の英単語に1語の和訳が当てられています。このリストには、変な点があることに気がつきますか。ヒントはすべて名詞の形で日本語に訳出されているということです。
auditory 聴覚
bladder 膀胱
bowel 腸
cardiac 心臓
cardiopulmonary 心肺
cerebral 脳
gastrointestinal 消化器
gustatory 味覚
intracranial 頭蓋内
kinesthetic 運動覚
mucous membranes 粘膜
neurovascular 神経血管性
oral 口腔
olfactory 嗅覚
peripheral neurovascular 末梢性神経血管性
peripheral vascular 末梢血管
renal 泌尿器
skin 皮膚
tactile 触覚
tissue 組織
verbal 言語
visual 視覚
urinary 尿
次回は、このリストの何が問題かを観ていきましょう。