医療通訳は注目をあびている

残念ながら社会的な注目はイマイチ

このところ、医療とまったく関係のない方たちと、名刺交換をする機会がずいぶんありました。すると、きまって「医療通訳、ってなにやるんですか。初めて聞く仕事なんですけど」と聞かれました。医療を離れると、医療通訳なんてまったく聞いたことのない人がおおいんですね。Googleニュースの過去1ヶ月分をみると、医療通訳についての話題がけっしてすくないというわけではありません。しかし、まだまだなんですよね。

すこしでも医療通訳という職業を世の中へつたえたいといるおもいから「そもそも、医療通訳ってなに?」という先日、記事を書きましたが、医療通訳という職業の周知には、まだ時間がかかりそうですね。

医療通訳は臨床の場で注目の的

今回それでも、「注目をあびている」とタイトルのなかにいれたのは、「社会から注目されている」といいたかったからではないんですよ。この注目っていうのは、患者さんからであり、お医者さんからという意味なんです。

ことばがお互いつうじない患者さんとお医者さんは、ともすれば、両方のことばがわかる医療通訳に精神的にたよるようにになります。患者さんはお医者さんの顔をみずに、医療通訳に注目して症状をうったえるようになりがちです。一方、お医者さんは患者さんではなく医療通訳に注目して問診をするということになります。

これは、いい傾向ではありません。患者さんとお医者さんは両方が同じことばをしゃべる場合とおなじように、たとえ、ことばがつうじなくとも、お互いにむかってきちんとはなすべきです。最良の治療をうけるためのコミュニケーションのためには、それがいいのです。

私の経験をいうと、問診をする間の8割くらいは私の方をじーっとみてはなしていた先生もいました。このときは、何度か患者さんに向かってはなすようにうながしたのですが、すぐにまた私の方をみるようになってしまいました。私自身が医療通訳になったばかりだったので、うまく対応出来ないといこともありました。

今回いいたかったことのひとつは、医療通訳は臨床の場で注目の的になってしまいがちなことを意識すべきだということです。そして、医療通訳は、その注目をなんとかはずして、患者さんとお医者さんがお互いを注目するように、その場をもっていかなくてはならないということです。

信頼を得るためには第三者の目を気にしよう

もうひとつ、医療通訳は注目されがちなのですから、自分自身の態度にも気をつけるべきです。患者さん、お医者さんから信頼されるような態度・服装をしているでしょうか。目の動きや、顔の表情、座り方などもこのなかにはいってきます。ここら辺については、自戒もこもっています。自分でも意識しないで、ふんぞりかえってしまう座り方をして、あとでこうかいすることがすくなくありません。ですから、これは、私自身の課題でもあります。

態度・服装の点については、今後医療通訳系の試験を受ける方は気をつけた方がいいでしょう。ロールプレイでは、試験官が医療機関の関係者だったり、医療通訳だったりするために、態度や服装に気をつかっていることがつたわると高評価につながるようです。実際の臨床の場にそのひとがいることを想像し、「ふさわしいか、ふさわしくないか」ということを試験官はみてしまい、そのことが採点に反映されてしまうといいます。

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