更年期障害の症状はさまざま(1)

最近、更年期(the menopause、the climacteric)についてちょっとした機会でYouTubeなどをみてみたら、更年期障害(menopausal disorders、perimenopausal disorders)の症状(symptoms)の多いこと、多いこと、下にいくつかあげてみたけれども、そんなもんじゃないらしい。この先生によると、100以上もの症状があるとか。この動画なんかも、いろいろな症状がおこることを説明しています。

Menopauseという言葉をつかうと、閉経そのものもさすから、やや時期的に限定された感じがしますよね。どちらかというとperimenopauseといったほうが、ことばの上では、日本語の更年期ということばの感覚にちかい感じがするのではないでしょうか。とはいえ、そこは厳密的すぎて、英語圏では素直にmenopauseといっちゃうようですね。

ICD-10には、「Menopausal and other perimenopausal disorders」という項目があるけど、一般的には単にsymptoms of the menopauseとかいうようです。Disordersということばをつかうのはちょっと表現として強すぎるのでしょうかね。

英語 日本語
irritability いらいらしていること、おこりっぽいこと
mood swings 感情の起伏(が激しいこと)
depression うつ(状態)、気持ちの落ち込み
apathy 無感動、(ものごとへの)関心を失うこと
forgetfulness ものわすれ、わすれっぽさ
memory loss 記憶をなくすこと、わすれてしまうこと、記憶喪失
fatigue 疲労、つかれ
dizziness めまい
palpitations 動悸
hot flashes ほてり
night sweats 寝汗、盗汗
heavy sweating 大汗、汗をたくさんかくこと
intolerance to cool temperatures 寒さに耐えられなくなること、(寒がり)
insomnia 不眠(症)
snoring いびき
odd dreams 奇妙な夢をみること
weakened muscles 筋が弱くなること、筋脆弱化
weakened bones 骨が弱くなること、骨脆弱化
muscle aches 筋肉痛
hair loss 脱毛、毛が抜けること
frequent urination 頻尿
breast tenderness 胸がさわられると痛いこと、乳房圧痛
sore breast 胸のいたみ
headaches 頭痛
lack of libido、loss of libido 性欲減退
irregular menstrual periods 生理不順、生理が不規則なこと
vaginal dryness 膣乾燥
painful sexula intercourse 性交時の痛み、性交をすると痛いこと
prolapses (子宮の)脱出症
vaginal discharge 膣分泌物、おりもの
urinary tract infections 尿路感染(症)
incontinence 失禁
sensitve skin 敏感肌、肌が敏感になること
dry hair 髪の乾燥
skin becomes thinner 肌が薄くなる
itching かゆみ
weight gain 体重増加
bloating 膨満(感)
vascular changes (静脈瘤などの)血管病変

語の構成要素 N

Nからはじまる構成要素はすくないですね。nephr(o)-とRのところででてくるren(i/o)-がともに「腎(臓)」を意味しますが、nephr(o)-がギリシャ語由来、ren(i/o)-がラテン語由来というちがいがあります。

構成要素 語源・意味 例語
narc(o)- ギ「麻痺」「麻酔」「昏迷」 narcolepsy: 睡眠発作,ナルコレプシー.
nas(i/o)- ラ「鼻」 nasal: 鼻の、鼻音の、鼻にかかった、鼻声の.
nasc-, nat- ラ「出生」「発生」 natality: 出生率(birthrate).
necr(o)- ギ「死」「屍、死体」「壊死」 necrotizing fasciitis: 壊死性筋膜炎 , 壊疽性筋膜炎
ne(o)- ギ「新…」「後期…」「新しくて異常な」 neoplasm: (体内にできる)新生物; (特に)腫瘍.
nephr(o)- ギ「腎(臓)」 nephrology: 腎臓内科, 腎臓学.
nerv(i/o)- ラ「神経(系)」(まれ、ほぼ neur(i/o)-が使われる) nerve: 神経.
neur(i/o)- ギ「神経(組織)」「神経系」 neurofibromatosis: 神経線維腫症.
noct(i/o)- ラ「夜」 noctalbuminuria: 夜間蛋白尿(症), 夜間アルブミン尿(症).
norm(o)- ラ「標準(の)」「正常な」 normocapnia: 炭酸正常状態.
nuc-, nucle(i/o)- ラ「核」「核酸」 nucleophile: 求核試薬, 求核剤.
nulli- ラ「無」 nulliparity: 未経産, 未産.

参考資料

語の構成要素 M

Mからはじまる構成要素では、macr(o)-とmicr(o)-の大小コンビがなんといっても子どものころからなじみがありますよね。悪い状態を意味するmal(e/i)-は、広くつかわれていて、医学だけではなくいろいろなシーンで耳にするとおもいます。女性に関連した構成要素がおおいのも特徴でしょうか。WでなくてMなのはふしぎといえばふしぎですね。

構成要素 語源・意味 例語
macr(o)- ギ「(異常に)大きい」「長い」 macrophage: マクロファージ、大食細胞.
mal(e/i)- ラ「悪」「不規則」「不良」「不全」「異常」 malalignment: 歯列不正.
malac(o)-, malako-, -malacia ギ「柔軟」 osteomalacia: 骨軟化(症).
mamm(o)- ラ「胸」「乳房」 mammogram: 乳房X線写真
mammill(o)- ラ「乳首」 mammillation: 乳頭状突起
man(u/i)-, ラ「手」 manicure: マニキュア.
mast(o)- ギ「乳房」「乳頭」 mastectomy: 乳房切除(術)
mea-, meat(o)- ラ「道」「道口」 meatoscopy: 尿道口鏡検査(法).
medull(i/o)- ラ「髄」「髄質」 medullization: 骨髄形成.
meg(a)-, megal(o)-, -megaly ギ「(並はずれて)大きい」「ものすごい」「肥大(症)」「巨大(症)」 splenomegaly: 巨脾(症)、脾腫.
mel(a/o)-, melan(o)- ギ「黒い」「メラニン」 melanin: メラニン.
mel- ギ「肢(limb)」 erythromelalgia: 先(肢)端紅痛症.
men(o)- ギ「月経(期間)」 menopause: 閉経, 更年期(=change of life, climacteric).
mening(i/o)- ギ「脳膜」「髄膜」 meningitis: 髄膜炎.
mer(o)- ギ「部分」 merocrine: メロクリン. meroblastic: 局胚性の,部分割の.
mes(o)- ギ「中央」「中間」「中位」 mesoderm: 中胚葉.
met(a)- ギ「後続」「後位」「変化」「変成」「一段と高い階型の」「…の異性体」 metacarpus: 中手(骨).
-meter ギ「…計(器)」「…メートル」「…歩格」 sphygmomanometer: 腕帯(型)水銀血圧計.
-metry ギ「測定法[学・術]」 optometry: 視力測定法, 検眼.
metr(o)- ギ「子宮」 metrorrhagia: (不正)子宮出血.
micr(o)- ギ「小…」「微…」「拡大の」「顕微鏡による[でしか見えない]」「小さな地域の」「微小写真の」 microscope: 顕微鏡.
mon(o)- ギ「単一」⇔poly- infectious mononucleosis: 感染性単球増加症、感染性単核症、伝染性単核球症.
morph(o)- ギ「形態」「組成」「形態素」 morphology: 形態(学).
multi- ラ「多くの」「さまざまの」「複数の」「何倍もの」 multigravida: (2回以上の妊娠経験の)経妊婦.
muscul(o)- ラ「筋(肉)」 musculoskeletal system: 筋骨格系.
my(o)- ギ「筋肉」 myoblast: 筋芽細胞、筋原細胞.
myc(o)- ギ「菌」「キノコ」 onychomycosis: 爪真菌症, 爪甲真菌症, ((俗))爪水虫.
myel(o)- ギ「髄」「脊髄」「骨髄」 myeloblast: 骨髄芽球、骨髄芽細胞、ミエロブラスト.
myring(o)- ラ「鼓膜」 myringotomy: 鼓膜切開, 鼓膜切開術.
myx(o)- ギ「粘液」 myxoma: 粘液腫.

参考資料

からだの機能を流れでみる

からだの中の臓器・器官(organ)は機能(function)によってグループわけをされています。そして、それぞれのグループを器官系(organ system)と呼びます。このうち、からだを維持するのに必要な酸素をとり入れ、必要なくなった二酸化酸素をからだの外に出す器官系を呼吸系the respiratory systemといいます。
 
医学の世界では、こういった器官系の機能を一つの流れでとらえる言葉や概念がしばしばつかわれます。呼吸器系については気道(the airways and the lungs)、消化器系(the digestive system)については消化管(the gastrointestinal [GI] tract/the alimentary canal)、そして、泌尿器系(the urinary system/the renal system)については尿路(urinary tract)がそうです。

こういった流れで機能をとらえる考え方は日本人の考え方にはあうようで、本を読むとよくでていいます。ただ、英語では、それほどでもないのか、消化管をのぞくと、それほどみることはありません。特に”airway”については、呼吸困難時に「気道を確保する」という意味でつかわれることはあっても、日本語のように空気の流れをとらえる形ではつかわれていないようです。

また、こういった流れで機能をとらえるときに、気をつけなければいけないのは、かならずしも器官系とイコールではないという点です。たとえば、消化管をみてみましょう。口(the mouth)から食道(the gullet/esophagus)をとおって胃(the stomach)へ、そして小腸(the small intestine)、大腸(the large intestine)を通過し肛門(the anus)へとつながる一つの管(流れ)として消化という機能をとらえています。しかしながら、消化という機能にとって重要な役割をはたし、消化器系に含まれる肝臓(the liver)や胆嚢(the gallbladder)といった器官は消化管に含まれていません。

尿路についてもみてみましょう。尿を作るといわれる腎臓という器官そのものから尿道がスタートするというよりも、腎臓の一部で実際に尿がでてくる腎杯(the renal calyx/the renal calyces、複数形でつかわれることがおおいです)からはじめるとかんがえられるため(腎臓そのものをふくめるとする考えもあります)、これも泌尿器系そのものとイコールとは言えません。

気道は呼吸器系とイコールです。もっとも、実際に呼吸という機能で使われる口(口腔)は、気道にも呼吸器系にもふくまれず、消化器系にふくんで説明されることがおおいようです(口を両方に含める考えもある)。この点は「鼻からすって、口からはいて」という呼吸法をかんがえると、ある程度は納得がいきます。そうかんがると、気道というのは空気を取りいれる方向でみているということなのでしょうか。

また、こういった流れをとらえた言葉は、しばしば上部(upper)と下部(lower)にわけて理解されます。つまり、上部気道・下部気道、上部消化管・下部消化管、上部尿路・下部尿路といったかたちで分類されることがよくあります。上部消化管内視鏡(upper GI tract endoscopy)などはみなさんもよく聞くことでしょう。

語の構成要素 L

Lからはじまる構成要素は「脂肪」を意味するlip(o)-や「白」を意味して白血球 (leukocyte)につかわれるleuc(o)-/leuk(o)-などがなじみがありますね。そのほか、いかにもギリシャ的な-lexiaやlog(o)-もあります。

構成要素 語源・意味 例語
labi(o)- ラ「唇」 labiodental: 唇歯音(の).
lacrim(o)- ラ「涙」 lacrimal canaliculi: pl. 涙小管.
lact(i/o)- ラ「乳」「乳酸」「乳糖」 lactation: 乳汁分泌、授乳(期間)、哺乳(期).
-lagnia ギ「色欲(lust)」 kleptolagnia: 窃盗淫欲(症), 窃盗性愛.
lapar(o)- ギ「腹壁」 laparotomy: 腹壁切開、開腹(術).
laryng(o)- ギ「喉頭(larynx=voice box)」 laryngeal: 喉頭(部)の.
later(i/o)- ラ「外側」「横側」「側方へ(の)」「横方向へ(の)」「外側と…の」 lateral pectoral nerve: 外側胸筋神経;外側前胸神経.
lei(o)-, li(o)- ギ「なめらかな」「平滑な」 leiomyoma: 平滑筋腫.
-lepsis, -lepsy, -lepsia, -leptic ギ「発作」 epilepsy: てんかん(癲癇). narcolepsy: ナルコレプシー、睡眠発作.
lept(o)- ギ「小さい」「細かい」「薄い」 leptomeningeal: 軟髄膜の,軟膜の.
leuc(o)-, leuk(o)- ギ「白い」「白血球」 leukocyte: 白血球.
lexico-, lexi-, lex-, -lexia, -lexias, -lexic, -lectic, -lexis ギ「…な読み方」「…な欠陥のある読み方」 dyslexia: 失読症, 読書障害; (広義で)言語障害.
lingu(i/o)- ラ「言語」「舌」 linguistics: 言語学.
lip(o)- ギ「脂肪」 liposuction: 脂肪吸引(法).
lith(o)- ギ「石」「結石」「リチウム」 lithotripsy: 砕石術.
lithotomy ギ+ギ「切石術」「結石摘出(術)」; litho-+tomy cholelithotomy: 胆石摘除(術).
lob(o)- ギ→ラ→仏「葉」; 「”lobe”」 lobectomy: 肺葉切除(術), 肺切, 葉切.
log(o)- ギ「言葉」「話」「思考」 logopathy: 言語障害(speech disorder).
-logist ギ「…学者」「…研究者」「…医」(特定の分野の) oncologist: 腫瘍医, pathologist: 病理学者,病理医.
-logy ギ「言葉」「話」「論」「学問」 hematology: 血液学, 血液内科. urology泌尿器学,泌尿器科.
lumb(o)- ラ「腰椎」 lumbago: 腰痛(症).
lymph(o)- ギ「リンパ」 lymphedema: リンパ水(浮)腫.
lys(o/i)-, -lytic, -lysis ギ「溶解」「分解」「破壊」 lysosome: リソソーム、水解小体. paralysis: 麻痺.

参考資料