チーム医療の一員としての資質を問う問題を出題 — 医療通訳技能検定

一般社団法人日本医療通訳協会が行っている医療通訳技能検定の第1次試験が先週末(2017年3月26日)に行われました。今回からは医療通訳の心がまえをチーム医療の視点から問う問題が出たとのことです。

具体的には、いくつかのシナリオ(医療通訳が直面するであろう架空の状況)が問題として提示され、それぞれ、そのシナリオの中での医療通訳としての判断がただしかったか、ただしくなかったかをこたえ、その根拠を記述するという問題だったようです。さらには、医療機関の制度について基礎知識を確認する問題もあったとのことです。

医療通訳としての心がまえについては今まで、医療通訳士協議会倫理規程をつかった問題が出ていました。全9条からなる倫理規程について、各条に1つまたは2つの空白部分があり、それをそれぞれ適切なことばを記述していくという問題形式でした。

原文のまま一言一句書きこむ必要はなく、意味があっていればいいとの採点方針を協会が示していたこともあり、倫理規程をあらかじめよんでいけば、ほとんどの受験生が正解できる解答しやすい問題でした。今春からは、医療通訳技能検定について厚生労働省の「医療通訳育成カリキュラム」に準拠するとの方針を示したことから、やや踏み込んだ問題となったようです。

私が主催する医薬通訳翻訳ゼミナールでは、「医療通訳育成カリキュラム」に準拠する方針を日本医療通訳協会が示したことをうけて、チーム医療の一員としての医療通訳の心がまえを問う質問について今までよりも踏みこんだものとなるだろうと考えました。そこで、厚生労働省の「医療通訳に関する資料一覧」にある『医療通訳』の本文をダウンロードし、「 専門職としての意識と責任(倫理)」(p32〜p49)と「日本の医療制度に関する基礎知識」(p124〜p145)について重点的に見直しておくようにと受験を準備する生徒にすすめてきました。

今春の医療通訳技能検定でしめされたながれは、医療通訳にチーム医療の一員としてのふるまいをもとめる医療機関の姿勢を反映したものです。問題形式はちがっても、今後ともなんらかの形で、医療機関・制度についての知識そして医療機関ではたらく心がまえを問う問題はでるとおもいますので要注意です。