主語+行為動詞+目的語の文型を理解しよう(第2パターン)

動詞中心に文を理解していくことは、動詞にどれだけの意味がふくまれているかということからはじまります。これは、辞書にでている意味をみてもわからないことです。動詞を中心に文をみていくことをくりかえして、身につけていくことができません。単語をおぼえることも大切ですが、できるだけ、単語だけをおぼえるのではなく、その単語がつかわれている例文とともにおぼえるようにしましょう。

ことばをけずって意味を確認してみよう

(A) The coaches from both teams agreed with each other.

これは第1パターン(主語+行為動詞)の文です。

“The coaches agreed.”「コーチたちは同意した」というところ(主語+行為動詞)まで、ことばをそぎおとしていっても、完成した意味をもっています。(”The”は「主語」の一部ではありませんが、文としてのかたちをとるためには、”the”とか”a/a”をつけることが必須になってしまうことがあります。”the”は主語を修飾していることばなので主語にはふくめません。”from both teams”を主語にふくめないのと同じです。)

(B) The coaches compared the two teams.

(A)と同じようにことばをそぎおとして行ってみましょう。

→ The coaches compared.

「コーチたちはくらべた」

コーチたちは、なにをくらべたのでしょうか。ファンでしょうか、スタジアムでしょうか、それとも、チームでしょうか。ここまでそぎおとしてしまうととわかりませんね。主語+行為動詞のところまでけずってしまうと、文の意味が未完成になってしまうのです。

もとの文をみてみましょう。

(B) The coaches compared the two teams.

「コーチは2つのチームをくらべた」

文の意味が完成しています。どの単語が動詞にしたがって文の意味を完成するのを助けているでしょうか。その単語をえらんでみましょう。ヒントは、主語と同じように修飾していることば(形容詞など)を除いて名詞をみていくことです。”teams”が文の意味を完成するのを助けているのです。

動詞を意味のうえで助ける補語

動詞中心に3パターンで文型を説明するテキストなどをみると、次のような文章がでてきます。

“The word that follows a verb and completes the meaning of a sentence is known as a complement.”

「動詞にしたがって文の意味を完成する単語を補語と呼びます。」

英文を3パターンで説明する場合、「補語」の意味はわが国の学校で習うのと違って広いんですね。補語の一種類として直接目的語が説明されるんですよ。

(C) The police blocked the road.

これも文をそぎおとしてみましょう

→ The police blocked.

「警察は封鎖した」

この文では、なにを「封鎖した」のか、わからないという宙ぶらりんな意味になってしまいます。”road”ということば(補語)を得ることで、「警察は道路を封鎖した」という意味のうえで完成したものになるのです。

補語の一種としての直接目的語

“The kind of complement that receives the action of the verb or shows the result of this action is called a direct object.”

「補語の一種で、動詞のアクション(行為)を受けてとる動詞や、アクションの結果を表すものを直接目的語という」

学校でもならった直接目的語(direct object)がでてきました。補語の種類で、動詞の行為を受けるもの、あるいは動詞の行為の結果を受けるものを「直接目的語」と呼ぶんですね。

(D) The casher made a slight mistake.

「レジ係はちょっとだけまちがえた」

この文は、しばしば”make a mistake”(まちがえる)という熟語として理解されているますが、行為動詞のなかで、補語(直接目的語)をもたないと意味として完成しないという点からかんがえるといい例だとおもいます。make(行為動詞)+mistake(直接目的語)で「まちがえる」という意味を完成させています。

結果の目的語、受けての目的語

(E) The company manufactures trucks.

「会社はトラックをつくっている」

(F) The company repairs trucks.

「会社はトラックを修理している」

この2つの文は、行為動詞のところを入れ替えているだけです。ところが直接目的語との関係がちがいます。(E)では、つくった結果がトラックです。(F)では、修理という行為の受け手がトラックなのです。微妙なちがいといってしまえば、それまでです。しかし、こういった行為動詞と直接目的語の関係のちがいが文の理解につながっていきます。

主語+行為動詞の文型を確認しよう(第1パターン)

動詞を中心にみていくと、英語の文は基本的に3つの文型(sentence pattern)に分けることができます。まずは、第1のパターンです。「主語+動詞」となります。5文型だといわゆる「第1文型」にあたる部分です。ここでは第1パターンとよんでおきます(ここらへんのことばは勉強するうえでの方便なのであまり気にする必要はありません)。

第1パターンの文は、「主語+動詞」だけで意味がとおるものです。いいかえると「動詞」だけで主語の「行動」について説明することができる文のパターンです。これを「文として意味上は完成(成立)する」といいます。

文型をみるのに行為動詞について確認しよう」でいくつかの例文をあげておきましたが、例文のうち、下の文がこの第1パターンにあたります。どちらも短い文ですが、これだけで文として完成(成立)しているのがわかるとおもいます。

c. “Harvey stumbled.”
ハーベイはつまずいた。

f. “Our guest arrived.”
(私どもの)客が到着しました。

一方、次の文を見てください。

Our guest from Ohio arrived by plane this morning.
オハイオからの客が今朝、空路で到着した。

c.とf.と比べると、文がずいぶん長くなっています。それでも、この文は第1パターンの文になります。こういった文をみるときは、まず動詞をみつけましょう。次にその動詞の主語をみつけましょう。続いて、そしてその2つだけで、意味上は一応完成することが出来るかどうかを確認しましょう。

(1)「到着した」(動詞)→誰が?
(2)「客が」(主語)→これで完成していないか?

こういった順番でみていくのです。同じことを下の文についてもやってみましょう。

A. The coaches from both teams agreed with each other.

B. The rain from yesterday stopped around 9 o’clock in the morning.

C. I leaned across the desk to operate the keyboard.

実はこの「意味上完成する」というのは日本人として感覚をつかむのは難しいかもしれません。動詞のなかにどれだけの意味がふくまれているのということを理解するのは、単に辞書をみただけではわからないからです。しかし、この動詞にどれだけの意味がふくまれているのかと点をおさえることが英語の肝をとらえるのに大事です。そして、動詞を手がかりに文の意味を取っていくというやり方を理解することはとても大切です。

医療通訳の役割を米国終末医療の現場でみてみよう

米国の医薬系ニュースサイトSTAT NEWSが医療通訳をまなぶものにとってドンピシャリの記事 “A dangerous conversation’: Medical interpreters need extra training to help dying patients” を今週公開しました。終末治療における医療通訳の重要な役割についてかかれており、医療通訳にとってとても刺激になる記事ですので、お読みすることをおすすめします。いくつかの興味をひかれた点について、ここではふれたいとおもいます。

医療通訳はアイコンタクトをどうすべきか

“Maldonado pulled up a chair for herself and another for palliative care specialist Dr. Faheem Jukaku, and the two sat at David’s eye level. ”

医療通訳は、じぶん自身と専門医のためにイスをひきよせ、ベッドでねている患者の「眼の高さ」にすわったとあります。アイコンタクトはどうしたのでしょうか。

医療通訳にとって目線をどのようにつかうのかということは、とてもたいせつですし、またとてもむつかしいことです。患者にしても、医師にしても、ことばの壁があるために、なにかと医療通訳を頼る傾向にあります。医療通訳の目線が患者や医師とおなじレベルにあると、医師も患者も医療通訳をみつめてしまいがちになります。しかし、患者と医師がきちんとコミュニケーションをとるためには、医療通訳が介在しているとはいえ、おたがいが直接むきあって、意志をつたえるのがのぞましいとされています。下の動画をみてみましょう。

医療通訳は患者のうしろがわにたち、意識的に目線をはずし、医師と患者がおたがいに直接むきあってはなすことをうながしています。患者と医師がしっかりとコミュニケーションをとるためには、こういった通訳スタイルがベストだろうとの判断から、採用されています。とくに北米で採用されている基本形といわれています。

もちろん、これが絶対なのではありません。たいせつなことは、患者と医師がしっかりとコミュニケーションをとることにはどのような形がのぞましいのかということをつねに追究すべきだということです。この記事には、はっきりとかかれていませんが、専門医と医療通訳がともに患者の「眼の高さ」にすわったということは、動画のようなスタイルはとらなかったということでしょう。「眼の高さ」にすわるスタイルのほうがコミュニケーションにとってのぞましいという判断がはたらいているのでしょう。

サイトトランスレーションはどうするのか

記事でつかわれている写真をみると、医療通訳が検査結果をその場で翻訳(サイトトランスレーション)して患者につたえているようです。キャプションをみると、検査結果を患者に説明しているとのことです。これは、医療通訳がすべきことなのでしょうか。

一般に、医療通訳はサイトトランスレーションをなるべくさけるべきだとされています。診察前に患者が記入をもとめられる問診票ていどであればいいとされていますが、その際も患者がことばの意味がわからなかった場合、医療通訳はそのことばの意味を説明すべきではなく、チェックをつけて、診察で医師に説明をもとめるようにするといわれています。

とくに、同意書(consent form)などの法的にもとめられている書類の記入については、サイトトランスレーションを引きうけるべきではありません。医療従事者に口頭で説明することをもとめ、それを通訳するスタイルをとるのがのぞましいでしょう。

検査結果についてはどうなのでしょうか。この記事の写真のキャプションをみるかぎり、医療通訳は単に検査結果をサイトトランスレーションをしているだけではなく、説明をしているようですね。単に、検査結果表にかかれていることをサイトトランスレーションするのであればいいのかもしれませんが、「説明」をするところまでいってしまうと問題なのではないかとかんがえます。写真用の演出なのかもしれないなとおもいますが、どうなのでしょうか。

ことばのニュアンス、そして文化の差異

“specialists say interpreters need extra training to capture the nuances of language around death.”

「死にかかわることばのニュアンスをとらえるために特別な訓練が(医療通訳には)必要」と指摘されているように、医療通訳にもとめられている能力は、ことばを単純に通訳できるということだけではありません。医師が患者を気づかったはなし方をしていれば、その意図を理解し、ターゲット言語(通訳していくことば、日本語から英語に通訳する場合は英語)のことばやはなし方を調整しなければいけません。

“Many doctors and nurses need the assistance of interpreters not only to overcome language barriers but also to navigate cultural differences. ”

医師や看護師にとって、医療通訳の援助が必要なのは、ことばの壁をのりこえるためだけでなく、文化的なちがいについてうまくやっていくためでもあるのだ、と記事はしています。この文化の差異をうめていく作業というのは、医療通訳にとっておおきな課題です。とくに終末治療においては「死」という患者の文化的背景の根源にかかわるものとむきあう必要があるでしょう。宗教にもとづく死の理解や、残されている家族に対する思いなど、さまざまな点で、おおきな文化的差異に直面する可能性があります。(当ブログのおおくの方がそうだとおもいますが)日本人で日本国内で医療通訳をしている方は、意識的に患者の文化圏についての理解をする努力をかさねなければいけないでしょう。

このほかにも、なるほどとおもわせる気づきをあたえてくれることがいくつも記事のなかには、かかれていますので、よむことをおすすめします。

新医療通訳学校の第2回説明会をおこないます

8月22日の第1回説明会につづき、8月27日土曜日に新医療通訳学校の説明会をおこないます。

第2回説明会

  • 日時 8月27日14:45-15:45(午後2時45分-4時45分)
  • 場所 東京都中央区八重洲1-7-4 矢満登ビル 3F 2号室(1階 CafeRenoir ニュー八重洲北口店)
  • 1時間程度を予定しています。

シルバーウィーク(9月第4週)明けに2コースを用意して、開講いたします。

医療通訳 101

英語の見直しからはじめる8週間(全16回)の入門コースです。
– 入学金 10,000円
– 授業料 138,000円
– 授業時間 月曜日・水曜日 18:15-20:45

医療通訳に興味はあるが、英語に自信がないという方むけのコースです。基礎的な英語を見直しながら、医療通訳にとって必要な英語による医療知識・表現を学んでいきます。とくに医療従事者・医療関連企業在職者にとっては、すぐに現場で活かせる知識が身につけられるうえ、将来的なキャリアプランにも役立ちます。

シニア向け医療通訳入門

シニア世代の課題に合わせた8週間(全16回)のコースです(シニア以外の方も受講できます)
– 入学金 10,000円
– 授業料 138,000円
– 授業時間 月曜日・水曜日 15:15-17:45

シニア世代の方で、ご自身の英語力を社会のために役立たせたいとおかんがえの方に最適のコースです。「医療通訳 101」のカリキュラムにそって、基礎的な英語力の見直しをしつつ、英語での医療知識・表現をまなびます。シニア世代の課題やテーマを盛り込んでいます。

新医療通訳学校が2コースを用意した理由・医療通訳をとりまく環境については説明会でおつたえします。

ご参加をご希望の方は、こちらからお申し込みください。

文型をみるのに行為動詞について確認しよう

文型について

中学校や高校の英語の授業で、5文型のことならったことがあるのではないでしょうか。SVですとか、SVC、SVOといったパターン(文型、sentence pattern)で、英語の文がどうならべられているのか(語順)を理解していきます。100年以上もまえにはじまったやり方といわれています。日本では、5文型が定着していますが、まとめ方によって、10文型という考え方もありますし、3文型というかんがえ方もあります。

このうち、3文型でパターンのとらえ方の基本となるのは、英語の動詞には行為動詞(action verb)と連結動詞(linking verb)の2種類があるということです。3文型は動詞中心で、文型をみていく考え方なんです。動詞の重要性について、当ブログでは強調してきました。文型については、3文型で英語の語順をみていきましょう。

行為動詞とはなにか

行為動詞と書くとかえってわかりづらくなってしまうかもしれませんね。action verbといえばわかるようにactionを説明する動詞です。まさに「動」詞というのに相応しい動詞です。行為動詞は、なんのアクションについてなのか、という点から大きく分けて2つに分かれます。

a. work, drive, wash, write, lift
b. think, hope, believe, decide, understand

a.とb.の違いがおわかりになりますでしょうか。キーワードは”body”と”mind”です。

つまり”body”「身体」の動きと”mind”(この言葉は日本語にすると正直どれも意味的にしっくりこない感じがするのですが)「精神」「心」の動きを説明する2つのグループに分かれます。aとbのどちらがどちらかなのは是非ご自分でお考えください。

行動動詞の2つのパターン

行為動詞はそれだけで文章の意味が完成する(まとまってしまう)ものと、他の言葉(目的語や補語)が伴わないと文章の意味が完成しないものに分かれます。以下を見てください。

c. Harvey stumbled
d. Harvey sharpened

どちらが完成した文でしょうか。

e. Our guest brought
f. Our guest arrived

こちらはどうでしょうか(質問ですので、便宜上、完成した文、未完成な文はともに、ピリオド(.)は省きました)。動詞の意味をもとに、かんがえてみましょう。






完成した文は、それぞれ、cとfです。

c. Harvey stumbled.
「ハーベイはつまずいた」
Harvey stumble on a stone.「ハーベイは石につまずいた」といった文をみることもありますが、cのようにうしろになにもつづかなくても、文として完成しています。

d. Harvey sharpened the knife.
「ハーベイはナイフをといだ」
こちらは、「とぐ」ということばについて「なにをといだのか」をはっきりとさせないと、文として成立しません。

e. Our guest brought a gift.
「客は贈り物をもってきた」
eは「もってきた」のはなにか、はっきりとしめさなければ、文として完成しません。

f. Our guest arrived.
「客が到着した」
fはこれだけで完成しています。もちろん、”Our guest arrived at our place.”のように、どこについたのかをしめす文もありますが、重要なポイントは、この行動動詞は自分だけで文を完成させる力をもっているということです。