おなかを分割して腹痛の原因をさぐる

9分割と4分割がある

おなか(腹部)は分割して、構造や機能を理解します。分割方法には、9分割と4分割があり、9分割は解剖学研究に、4分割は痛みなどの症状や異常の場所を特定するのによくつかわれます。ただ、欧米では4分割をひろくつかわれているようですが、国内では痛みや異常の場所の特定にも9分割がつかわれているようですので、ここでは9分割で臓器のおおよその位置をとらえましょう。

念のため、4分割にふれておくと、向かって左上が「右上腹部」(the right upper quadrant,RUQ)、右上が「左上腹部」(the left upper quadrant、LUQ)、左下が「右下腹部」(the right lower quadrant、RLQ)、そして右下が「左下腹部」(the lower left quadrant、LLQ)となっています。左右が逆になっているのは、観察する側ではなく、観察されている体からみて左右が決まるからです。

9分割の名称

9分割は画像のとおりとなっています。

RHR: 右季肋部(みぎきろくぶ)、the right hypochondriac region
EGR: 心窩部、the epigastric region
LHR 左季肋部、the left hypochondriac region
RLR: 右側腹部、the right lumbar region
UR: 臍部(さいぶ)、the umbilical region
LLR: 左側腹部、the left lumbar region
RIR: 右下腹部、the right iliac (inguinal) region
HGR: 下腹部、the hypogastric region
LIR: 左下腹部、the left iliac (inguinal) region

部位ごとにほぼ位置する臓器

臓器の位置はおおよそであって、はっきりと腹部上からわけられるわけではない。

EGR:

日本語 英語
食道 gullet、esophagus
stomach
十二指腸 duodenum
心臓 heart
膵臓 pancreas
肝臓 liver
胆道 biliary tract

RHR:

日本語 英語
肝臓 liver
胆道 biliary tract
stomach
十二指腸 duodenum
右腎臓 right kidney
膵臓 pancreas

LHR:

日本語 英語
膵臓 pancreas
stomach
脾臓 spleen
左腎臓 left kidney

UR:

日本語 英語
intestines
腹部大動脈 abdominal aorta
stomach

RLR:

日本語 英語
右腎臓 right kidney
尿管 ureter

LLR:

日本語 英語
左腎臓 left kidney
尿管 ureter

HGR:

日本語 英語
膀胱 bladder
子宮 womb、uterus
子宮付属器 uterine appendage
前立腺 prostate

RIR:

日本語 英語
虫垂 appendix
大腸 large intestine、colon
尿管 ureter
卵巣 ovary

LIR:

日本語 英語
大腸 large intestine、colon
尿管 ureter
卵巣 ovary

※臓器の前には基本的に定冠詞がつく。

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英語は主語と動詞にウェートがある

“The subject and the verb are the most important words in any sentence because they carry most of the meaning.”

From English 2200 with Writing Applications: A Programmed Course in Grammar and Usage

主語と動詞が重要

とてもベーシックなところからいきますね。上にあげた文章はこのようなことをいっています。

「主語と動詞はどのような文章においても最重要なことばである。なぜならば、この2つが(文章の)意味の大部分をつたえる(役割を担っている)からだ」

その理由は次のとおりです。

  • 主語は、その文がつたえようとしている意味の「主人公」がだれ、またはなんなのかをあらわします。
  • 動詞は、その主人公が「なにをしているのか」あるいは「なんなのか」をあらわします。

文章をよむときにこの2種類のことば(主語と動詞)に注意しましょう。

シンプルな地図のように英文のキモを理解する

地図を書かせると、いろいろなものをこまごまと書きこむけれども、できたものはなんだかさっぱり要領をえないというひとがいると思います。わかりやすい地図はシンプルで、いくつめの交差点で、どの方向にまがるかということがはっきりとかかれているだけというものがおおいですよね。

長文をみると、形容詞・形容詞句、副詞・副詞句、接続詞などなど、いろいろなことばで、ごちゃごちゃとこみいってます。こういった長文をよみとくのにたいせつなのは、文章をシンプルでわかりやすい地図に一瞬にして自分で書きかえ、キモ(重要なポイント)をおさえることでしょう。

そういった書きかえ作業をする上で重要なアプローチは、どのことばが主語で、どの言葉が動詞なのかをおさえることです。文章をよむときはこの2つを意識しましょう。ちなみに主語は名詞であるとまずはおぼえましょう(名詞節というのもあるのですが、とりあえずそれはあとにまわしましょう)。

練習問題

次の各文の主語と動詞をえらびましょう。ここでは各文にはそれぞれ1語ずつふくまれています(答えは次回に)。

A: The old dog wagged its shaggy tail.
B: Two small boys rang our doorbell.
C: A handsome blue car stopped in front of our house.
D: Players from both teams scrambled over the field.
E: A huge, spreading maple stands in front of the church.
F: A large white cat with yellow patches emerged from the bushes.
G: An expensive silver pin disappeared from the counter.
H: The pond across the road seldom freezes before December.
I: My only key to the house fell through a crack in the steps.

イギリスのEU離脱は製薬業界に打撃か

イギリスがEU離脱を決めたこと(Brexit)は欧州の医薬品承認プロセスに大きな打撃をあたえるだろうと、STAT NEWSはつたえています。英国だけでなく、英国もふくめて、EU圏の医薬品承認規定はEUレベルで決められているのですから、離脱が現実化するにつれ、影響がでてくることはさけられないでしょう。製薬業界はこんご数年、欧州の動向から目を離せないでしょう(どこの業界もおなじでしょうが)。ざっと、STAT Newsの記事が指摘している点を現状と今後の見通しにわけて整理してみました。

現状

  • EUの医薬品評価機関である欧州医薬品庁(European Medicines Agency、EMA)はロンドンに所在。
  • EMAはイギリスの医薬品・医療製品規制庁(Medicines and Healthcare products Regulatory Agency、MHRA)と共生関係にある。
  • 専門家によると、EMAの審査について、およそ3分の1はMHRAが負担している。
  • イギリス全体では、22万2千人が製薬業界に従事していて、EU圏のほかの国よりも比率がたかい(欧州委員会によると、EUの製薬業界は2012年現在、2200億ユーロ規模で約80万人を雇用)。
  • イギリスのライフサイエンス企業の年間研究費40億米ドルの約16%はEUが出資している。

今後の見通し

  • EMAは現在のロンドンからEU圏へ移転する必要があるだろう
  • EMAが移転すれば、600人の現職員が影響をうけざるをえない。
  • 短期的には影響がないだろう。
  • EUとイギリスの両方で医薬品の承認をうけるには、非効率でいままで以上に時間のかかる承認プロセスをへなければならないだろう
  • EMAとMHRAは別々に運営していく必要があるだろう
  • MHRA、EMAともにおたがいに依存していた機能を独自におぎなっていく必要がでてくる。
  • イギリス製薬業界からの頭脳流出が懸念される。

その他の報道

おおくの報道が、製薬会社の市場価値の面から記事をかいていて、業界環境にはさほどふれていません。そのなかで、The Telegramは、EMAとMHRAの共生関係(とくにMHRAの負担分)がこんごも維持されるのではないかという見方を紹介しています。

「イギリス製薬業界からの頭脳流出が懸念される」という点についても、業界内のEU移住者比率にある程度ふれるなど、The Telegramはやや踏みこんだ見方をしています。それによると、イギリス製薬業界の雇用者数は7万人強で、そのうち、約7%がイギリス以外のEU国民となっています。なお、イギリス国家統計局(Office for National Statistics、ONS)のデータによると、イギリス国内で雇用されているイギリス以外のEU国民は210万人で全体の約6・7%を占めています。

ところで、The Telegramのイギリス製薬業界の雇用者数は、STAT NEWSの22万2千人とおおきくことなります。イギリスの製薬業界団体ABPIのデータは2012年の数値とややふるいですが、The Telegramの数値にちかいものです。STAT NEWSの数値がなににもとづいているのか気になります。

※The life science sector/industryとthe pharmaceutical sector/industryに、記事内容のかぎりは意味のちがいは見いだせませんでした。

基礎的な英語の見直しもやっていきます

医療英語・医療通訳を勉強している方をみていると、英語を一度見なおしたら、もっとのびるのに、と残念に思うことがすくなくありません。とくに医療通訳をまなんでいる方のあいだには、文法や熟語など、英語の基礎的な部分について不安をもったまま医療通訳の学習に取りくんでいるので、いくらまなんでも、じぶんの英語力についての自信につながらず、あいまいないい方をしたり、不安げなようすをみせてしまう方がいます。

医療英語の森へでは、医療通訳のネットワークをひろげていくために、これまで医療英語・医療通訳の知識・学習法などにフォーカスしてきました。しかし、医療英語・医療通訳をまなんでいる方の現状をみると、ややスコープをひろげていくことが、医療通訳のネットワークの底上げにつながるとかんがえました。

そこで、医療英語の森へでは、基礎的な英語についても、ふれていこうとおもいます。学習方法については、僕の個人的な体験をいかしていきます。英語の基礎的な部分についてEnglish 2200 with Writing Applications: A Programmed Course in Grammar and Usageという本に、僕自身は大学時代とてもお世話になりました。この本は、文型のとらえ方など、日本の文法書とはかなりアプローチがちがいます。その分、ネイティブの思考法など、とても参考になるところがあります。この本を参考にしつつ、これからは基礎英語についてもおりにふれて話題にしていきます。

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