語の構成要素 O

語の構成要素 O

Oからはじまる構成要素は結構ありますね。眼に関連した構成要素がocul(o)-やoptic(o)、ophthalm(o)-とおおいのが目につきます(ちょっとだじゃれになってしまいましたね)。

構成要素 語源・意味 例語
ocul(o)- ラ「眼」 oculist: 眼科医
odont(o)- ギ「歯」 orthodontist: 矯正歯科医
odyn(o)- ギ「痛み」 stomatodynia: 口腔痛.
-oid ギ「~のような(もの)」「~状の(もの)」「~質の(もの)」 sarcoidosis: サルコイドーシス、類肉腫症.
-ole ラ「小さいもの」 arteriole: 細動脈.
olig(o)- ギ「少数」「少」「不足」 oligotrophy: 貧栄養,栄養不足,栄養不良.
om(o)- ギ「肩」 omoplate: 肩甲骨.
-oma (単), -omata (複) ギ「腫瘍」「瘤」 sarcoma: 肉腫. teratoma: 奇形腫.
omphal(o)- ギ「へそ(navel, the umbilicus)」「へその緒(the umbiliical cord)」 omphalotomy: 臍帯切断術; 臍帯切断.
onco- ギ「塊」「はれもの」「腫瘍」 oncology: 腫瘍学, 腫瘍内科.
-one ギ「ケトン化合物」 acetone: アセトン.
onych(o)- ギ「爪」 onychophagy/onychophagia: つめ噛み
o(o)- ギ「卵」「卵子」 oogenesis: 卵(子)形成
oophor(o)- ギ「卵巣」 oophorectomy: 卵巣摘出(術)、卵摘.
op-, opia, -opic, ops(i/o)-, —opsia, -opsis, opt-, -optic, optico-, -opy ギ「視力」「視覚障害」 myopia: 近視.
-opsy ギ「検査」 biopsy: 生検.
ophthalm(o)- ギ「眼」 ophthalmology: 眼科(学)
optic(o)- ギ→中仏「光学と…の」「眼の」「眼[視覚]と…の」 opticochemical: 光化学の.
or(o)- ラ「口」 oral: adj. 口の.
orchi(o)-, orchid(o)-, orch(o)- ギ「睾丸(testis)」 orchiectomy/orchidectomy: 精巣(睾丸)摘出(術)、除睾術.
-orexia ギ「欲望」「食欲」 anorexia nervosa: 神経性無食欲症.
orth(o)- ギ「まっすぐな」「直立した」「垂直の」「直角の」「正しい」「矯正的な」 orthodontist: 矯正歯科医
-ose ラ「炭水化物」「糖」 cellose: セルロース.
-osis ギ「病的状態」 harlequin-type ichthyosis: 道化師様魚鱗癬. psychosis: 精神病. osteoperosis: 骨粗しょう症
osse(o)- ラ「骨」「骨と…の」 ossein: 骨質, オセイン.
ossi- ラ「骨」 peripheral ossifying fibroma: 周辺性化骨性線維腫
ost-, oste(o)- ギ「骨」 osteoporosis: 骨粗しょう症
ot(o)- ギ「耳」 otopathy: 耳疾患.
-otia ギ「耳の状態」 anotia: 無耳(症).
-ous ラ「…の多い」「…性の」「…に似た」「…の特徴を有する」「…の癖がある」「…にふける」「…に富む」 nervous: adj. 神経の, 神経質な.
ovar-, ovari(o)- ラ「卵巣」「卵巣と…の」 ovariectomy: 卵巣切除(術)、卵巣摘出(術)、卵摘
ov(o/i)- ラ「卵(eggs, the ovum) ovogenesis: 卵形成
ox(o)-, oxa-, oxy ギ「酸素」 oxalate: シュウ酸塩; vt. シュウ酸塩処理する.
oxy-, oxys- ギ「鋭い」「とがった」「急速な」 oxycephaly: 尖頭症、塔状頭. paroxysmal: adj. 発作性.

参考資料

更年期障害の症状はさまざま(2)

国内の評価方法の例

ちなみに国内には、「東京医科歯科大学方式簡略更年期指数(SMI)」と呼ばれる評価票があります。「顔がほてる」「汗をかきやすい」「腰や手足が冷えやすい」「息切れ、動悸がする」「寝つきがわるい、または眠りが浅い」「怒りやすく、いらいらする」「くよくよしたり、憂うつになる」「頭痛、めまい、吐き気がよくある」「つかれやすい」「肩こり、腰痛、手足の痛みがある」といった10項目について、それぞれ「強(10点)」「中(6点)」「弱(3点)」「無(0点)」と自己採点をします。やや精神症状にかたよっている印象を受けますが、こうやって定量化して下のように評価します。

自己採点 評価
0点~25点 上手に更年期を過ごしています。これまでの生活態度を続けていいでしょう。
26点~50点 食事、運動などに注意を払い、生活様式などにも無理をしないようにしましょう。
51点~65点 医師の診察を受け、生活指導、カウンセリング、薬物療法を受けた方がいいでしょう。長期間(半年以上)の計画的な治療が必要でしょう。
81点~100点 各科の精密検査を受け、更年期障害のみである場合は、専門医での長期的な対応が必要でしょう。

[参考資料]
「働く女性の月経関連障害及び更年期障害のQWL(QualityofWorkingLife)に及ぼす影響に係る研究・開発、普及」研究報告書(独立行政法人 労働者健康福祉機構・平成25年12月)

また、日本産婦人科学会では「日本人女性の更年期症状評価表」という評価法をとり、8分野(熱感・不眠・神経質憂うつ・倦怠感・記憶障害・胸部症状・疼痛症状・知覚異常)の22項目について段階評価をします。

男性に更年期障害はあるの?

ところで、男性の更年期障害について、ここ数年話題になることがありますが、ドイツの有力紙「SPIEGEL」は、製薬会社のつごうでつくられたものだと報告しています。真相はどこにあるのでしょうか。

更年期障害の症状はさまざま(1)

最近、更年期(the menopause、the climacteric)についてちょっとした機会でYouTubeなどをみてみたら、更年期障害(menopausal disorders、perimenopausal disorders)の症状(symptoms)の多いこと、多いこと、下にいくつかあげてみたけれども、そんなもんじゃないらしい。この先生によると、100以上もの症状があるとか。この動画なんかも、いろいろな症状がおこることを説明しています。

Menopauseという言葉をつかうと、閉経そのものもさすから、やや時期的に限定された感じがしますよね。どちらかというとperimenopauseといったほうが、ことばの上では、日本語の更年期ということばの感覚にちかい感じがするのではないでしょうか。とはいえ、そこは厳密的すぎて、英語圏では素直にmenopauseといっちゃうようですね。

ICD-10には、「Menopausal and other perimenopausal disorders」という項目があるけど、一般的には単にsymptoms of the menopauseとかいうようです。Disordersということばをつかうのはちょっと表現として強すぎるのでしょうかね。

英語 日本語
irritability いらいらしていること、おこりっぽいこと
mood swings 感情の起伏(が激しいこと)
depression うつ(状態)、気持ちの落ち込み
apathy 無感動、(ものごとへの)関心を失うこと
forgetfulness ものわすれ、わすれっぽさ
memory loss 記憶をなくすこと、わすれてしまうこと、記憶喪失
fatigue 疲労、つかれ
dizziness めまい
palpitations 動悸
hot flashes ほてり
night sweats 寝汗、盗汗
heavy sweating 大汗、汗をたくさんかくこと
intolerance to cool temperatures 寒さに耐えられなくなること、(寒がり)
insomnia 不眠(症)
snoring いびき
odd dreams 奇妙な夢をみること
weakened muscles 筋が弱くなること、筋脆弱化
weakened bones 骨が弱くなること、骨脆弱化
muscle aches 筋肉痛
hair loss 脱毛、毛が抜けること
frequent urination 頻尿
breast tenderness 胸がさわられると痛いこと、乳房圧痛
sore breast 胸のいたみ
headaches 頭痛
lack of libido、loss of libido 性欲減退
irregular menstrual periods 生理不順、生理が不規則なこと
vaginal dryness 膣乾燥
painful sexula intercourse 性交時の痛み、性交をすると痛いこと
prolapses (子宮の)脱出症
vaginal discharge 膣分泌物、おりもの
urinary tract infections 尿路感染(症)
incontinence 失禁
sensitve skin 敏感肌、肌が敏感になること
dry hair 髪の乾燥
skin becomes thinner 肌が薄くなる
itching かゆみ
weight gain 体重増加
bloating 膨満(感)
vascular changes (静脈瘤などの)血管病変

語の構成要素 N

Nからはじまる構成要素はすくないですね。nephr(o)-とRのところででてくるren(i/o)-がともに「腎(臓)」を意味しますが、nephr(o)-がギリシャ語由来、ren(i/o)-がラテン語由来というちがいがあります。

構成要素 語源・意味 例語
narc(o)- ギ「麻痺」「麻酔」「昏迷」 narcolepsy: 睡眠発作,ナルコレプシー.
nas(i/o)- ラ「鼻」 nasal: 鼻の、鼻音の、鼻にかかった、鼻声の.
nasc-, nat- ラ「出生」「発生」 natality: 出生率(birthrate).
necr(o)- ギ「死」「屍、死体」「壊死」 necrotizing fasciitis: 壊死性筋膜炎 , 壊疽性筋膜炎
ne(o)- ギ「新…」「後期…」「新しくて異常な」 neoplasm: (体内にできる)新生物; (特に)腫瘍.
nephr(o)- ギ「腎(臓)」 nephrology: 腎臓内科, 腎臓学.
nerv(i/o)- ラ「神経(系)」(まれ、ほぼ neur(i/o)-が使われる) nerve: 神経.
neur(i/o)- ギ「神経(組織)」「神経系」 neurofibromatosis: 神経線維腫症.
noct(i/o)- ラ「夜」 noctalbuminuria: 夜間蛋白尿(症), 夜間アルブミン尿(症).
norm(o)- ラ「標準(の)」「正常な」 normocapnia: 炭酸正常状態.
nuc-, nucle(i/o)- ラ「核」「核酸」 nucleophile: 求核試薬, 求核剤.
nulli- ラ「無」 nulliparity: 未経産, 未産.

参考資料

語の構成要素 M

Mからはじまる構成要素では、macr(o)-とmicr(o)-の大小コンビがなんといっても子どものころからなじみがありますよね。悪い状態を意味するmal(e/i)-は、広くつかわれていて、医学だけではなくいろいろなシーンで耳にするとおもいます。女性に関連した構成要素がおおいのも特徴でしょうか。WでなくてMなのはふしぎといえばふしぎですね。

構成要素 語源・意味 例語
macr(o)- ギ「(異常に)大きい」「長い」 macrophage: マクロファージ、大食細胞.
mal(e/i)- ラ「悪」「不規則」「不良」「不全」「異常」 malalignment: 歯列不正.
malac(o)-, malako-, -malacia ギ「柔軟」 osteomalacia: 骨軟化(症).
mamm(o)- ラ「胸」「乳房」 mammogram: 乳房X線写真
mammill(o)- ラ「乳首」 mammillation: 乳頭状突起
man(u/i)-, ラ「手」 manicure: マニキュア.
mast(o)- ギ「乳房」「乳頭」 mastectomy: 乳房切除(術)
mea-, meat(o)- ラ「道」「道口」 meatoscopy: 尿道口鏡検査(法).
medull(i/o)- ラ「髄」「髄質」 medullization: 骨髄形成.
meg(a)-, megal(o)-, -megaly ギ「(並はずれて)大きい」「ものすごい」「肥大(症)」「巨大(症)」 splenomegaly: 巨脾(症)、脾腫.
mel(a/o)-, melan(o)- ギ「黒い」「メラニン」 melanin: メラニン.
mel- ギ「肢(limb)」 erythromelalgia: 先(肢)端紅痛症.
men(o)- ギ「月経(期間)」 menopause: 閉経, 更年期(=change of life, climacteric).
mening(i/o)- ギ「脳膜」「髄膜」 meningitis: 髄膜炎.
mer(o)- ギ「部分」 merocrine: メロクリン. meroblastic: 局胚性の,部分割の.
mes(o)- ギ「中央」「中間」「中位」 mesoderm: 中胚葉.
met(a)- ギ「後続」「後位」「変化」「変成」「一段と高い階型の」「…の異性体」 metacarpus: 中手(骨).
-meter ギ「…計(器)」「…メートル」「…歩格」 sphygmomanometer: 腕帯(型)水銀血圧計.
-metry ギ「測定法[学・術]」 optometry: 視力測定法, 検眼.
metr(o)- ギ「子宮」 metrorrhagia: (不正)子宮出血.
micr(o)- ギ「小…」「微…」「拡大の」「顕微鏡による[でしか見えない]」「小さな地域の」「微小写真の」 microscope: 顕微鏡.
mon(o)- ギ「単一」⇔poly- infectious mononucleosis: 感染性単球増加症、感染性単核症、伝染性単核球症.
morph(o)- ギ「形態」「組成」「形態素」 morphology: 形態(学).
multi- ラ「多くの」「さまざまの」「複数の」「何倍もの」 multigravida: (2回以上の妊娠経験の)経妊婦.
muscul(o)- ラ「筋(肉)」 musculoskeletal system: 筋骨格系.
my(o)- ギ「筋肉」 myoblast: 筋芽細胞、筋原細胞.
myc(o)- ギ「菌」「キノコ」 onychomycosis: 爪真菌症, 爪甲真菌症, ((俗))爪水虫.
myel(o)- ギ「髄」「脊髄」「骨髄」 myeloblast: 骨髄芽球、骨髄芽細胞、ミエロブラスト.
myring(o)- ラ「鼓膜」 myringotomy: 鼓膜切開, 鼓膜切開術.
myx(o)- ギ「粘液」 myxoma: 粘液腫.

参考資料