医療通訳は現場で実際に通訳をはじめる前に、患者または医療従事者に対して、どのような形で通訳をおこなっていくのかを手みじかに説明することがあります。これをプレセッション(pre-session)といいます。『医療英語の森へ』では以前「プレセッションとCIFE(1)」「プレセッションとCIFE(2)」でくわしく取りあげました。
くわしい説明については、以前の投稿をご参照ください。ざっくりいうと、プレセッションの内容は4つの約束ごとをあらわすそれぞれの英単語の最初の文字でつくられたCIFEという頭字語によってよくあらわされます。
CIFE | ||
---|---|---|
C | Confidentiality | 守秘義務 |
I | “I” as in first person | 一人称の使用 |
F | Flow | 流れ・話し方 |
E | Everything | すべての発言を通訳 |
今回は、具体例を挙げていきたいとおもいます。
4つの約束ごと・英語例文
CIFE | 例文 |
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Confidentiality | Everything said and discussed in the session will remain highly confidential |
“I” as in first person | Please speak directly to the patient/doctor as if no language assistance were present. I will interpret everything in first person; that is, if the patient says (you say), “I have a headache,” I will say, “I have a headache,” in English (Japanese). |
Flow | I would like you to speak slowly and use short phrases whenever possible for accurate interpretation. |
Everything | I am obligated to interpret everything you say in the session, so if there is anything you don’t want to let your patient/doctor know, please refrain from saying it. |
4つの約束ごと・日本語例文
CIFE | 例文 |
---|---|
守秘義務 | 医療通訳として私は守秘義務を負っています。通訳した内容を他の方が知ったりすることはありませんので安心してお話しください。 |
一人称の使用 | お話をするときは、私がいないかのように、直接、患者さん(お医者さん)にお話ください。すべての通訳は一人称でおこないます。患者さんが「お腹が痛い」といえば、「お腹が痛い」と訳します。「患者さんは『お腹が痛い』といっている」とは訳しません。 |
話し方・流れ | 正確に訳すために、なるべくゆっくりとお話ください。できれば、区切って、短くお話ください。 |
すべての発言を通訳 | 診察中にお話されたことは、すべて訳すことになっています。ですので、もし、患者さん(お医者さん)に知られたくないことがあれば、口に出すことをお控えいただきたく、よろしくお願いします。 |